研究課題/領域番号 |
20H03778
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 行延 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20451700)
|
研究分担者 |
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
揚山 直英 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (50399458)
松原 宗明 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30743679)
井上 貴昭 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60379196)
佐藤 幸夫 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312844)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | ARDS / 霊長類モデル / 体外循環 / 白血球 / 骨髄 / CPB / PMX-DHP |
研究開始時の研究の概要 |
手術に伴う骨髄由来(活性化)白血球の肺への動員の知見、および前年度までの萌芽研究で得られた基礎実験データを融合し、術後肺障害(ARDS)の発症メカニズムの解明と予防への応用が本研究の目的である。サルCPB/肺障害モデルを用いて、肺障害のkey-factorである白血球の肺への集積について骨髄由来白血球の動態に注目し、術前CCL23による骨髄刺激抑制に加え、術中のトロンボモジュリンの好中球活性化抑制作用、抗炎症作用を併用、さらに術後にPMX-DHP による血中サイトカイン、および骨髄由来活性化白血球そのものの吸着を施行し、これら各群をin vivoで血液学的、組織学的、および画像的に検証する。
|
研究実績の概要 |
外科手術後の全身性炎症反応症候群(SIRS) からARDSに至った場合の発症後死亡率は高く難治性であるが故に、その発症予防が重要である。我々が先行研究で示したCPBによる骨髄由来白血球の肺循環へは術後発症メカニズム解明における重要な端緒と考える。 本研究では、サルCPB/肺障害モデルを用いて術前からCCL23による骨髄刺激抑制に加え、術中のトロンボモジュリン: rTM の好中球活性化抑制作用、抗炎症作用を併用、さらに術後にPMX-DHP による血中サイトカイン、および骨髄由来活性化白血球そのものの吸着を施行し、手術侵襲が惹起する循環血中、および骨髄由来白血球の肺への集積制御を目的とする。BrdUが静注によって分裂過程にある細胞のDNAに取り込まれることを利用して骨髄白血球前駆細胞を標識し、手術侵襲によって新規に誘導される骨髄由来細胞の循環血液中への放出と、肺への集積を経時的に追跡する。 前年度からのCCL23(recombinant human CCL23)群(CCL23を術前に静注し、骨髄の細胞分裂過程を制御して骨髄刺激に対する白血球前駆細胞の保護作用により、骨髄由来活性化白血球を制御する群)の実施結果を解析し、論文発表した(Heart, Lung and Circulation 32 (2023) pp. 424-433)。 さらに、PMX-DHP群遂行のため、これまで開発したCPBモデルを基盤とし、その周術期にPMX-DPHを使用する吸着モデルを開発、発展させた。今後、術後PMX-DHP施行よる、骨髄由来白血球の肺集積抑制効果を検証し、術後肺障害に対する発症メカニズムの解明、ひいては予防への応用によって外科手術成績の躍進的な向上を目指したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前回までのCCL23群の経過を論文発表し、さらに、新たな群に向けてのモデル開発に成功し、これを基にした今後の実験遂行が期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターで飼育されている体重5kg前後のオスのカニクイザル20頭を、最低8週間の休息インターバルをおいて繰り返し使用し、のべ40回の体外循環実験を計画する。初年度(2020年)より開始した10回の体外循環と病態制御の手法により分けた各群の実験を継続する。 BrdUを静注(100mg/kg)しカニクイザル(Adult male; B.W. 5kg前後)の骨髄前駆細胞を標識する。24時間後(BrdU標識白血球が血中に出現し始める)体外循環実験を開始する。全身麻酔下に胸骨正中切開、30分間の完全体外循環(肺虚血モデル)を含む、計120分間の体外循環をおこなう。開始後120分後に体外循環から離脱し、止血ののち閉創する。その後は鎮静、人工呼吸器管理とし、術中、および術後一週にわたり経時的に血液検体、気管支肺胞洗浄(BAL)液、肺組織の採取、および画像撮影をおこなう。 最終年度として、当初の群分けに基づき、術後PMX-DHP施行を中心とした複合的な骨髄由来白血球の肺集積抑制効果の解析へと発展し、引き続いて炎症機転制御効果の検証を進めていきたい。
|