研究課題/領域番号 |
20H03854
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
平田 雅人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (60136471)
|
研究分担者 |
安河内 友世 (川久保友世) 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70507813)
溝上 顕子 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70722487)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | オステオカルシン / DOHaD / グリコーゲン分解 / 葉酸 / 生活習慣病 / DOHad / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、妊娠母体の栄養状態が児の将来の疾患発症リスクを規定することが示唆され、その機序としてエピゲノム制御異常が想定されている。 申請者らはこれまで、骨基質蛋白質であるオステオカルシン (OC) によるエネルギー代謝の改善効果の解析の一端で、高脂肪食を摂取する妊娠母体から生まれた仔は肥満になり易いが、妊娠中のOC投与によって、生まれた仔の肥満が改善されるという結果を得ている。本研究ではこの知見を発展させ、妊娠期栄養状態の影響が世代を越えて継承される機構とOCによる肥満や糖脂質代謝異常の回避機構について、ニュートリエピゲノミクス (nutrition-epigenomics) の観点から解明する。
|
研究実績の概要 |
これまでに、妊娠母体のOne carbon metabolism(OCM)関連栄養素(特に葉酸)の欠乏で、産仔の成熟後の肝OC発現が低下することや、食餌性肥満の感受性が上昇することを確認していた。そのため、令和4年度は、それら産仔の白色脂肪組織と肝臓における網羅的遺伝子発現解析(RNAseq)結果を手掛りとして、妊娠母体のOCM関連栄養素の不足が産仔の葉酸-メチオニン経路に及ぼす影響に着目した解析を進め、産仔の脂質代謝の低下が如何なるメカニズムで生じているのか追究した。 まず、妊娠母体の葉酸不足が、成熟後の産仔のエネルギー代謝異常に影響していたことについて、産仔におけるOCM関連遺伝子のDNAメチル化異常の関与を検証したが、母親の影響を受ける最終地点である離乳時と成熟後(3ヶ月齢)では、現在までに、OC以外に完全に一致する相関が得られていない。その原因として、母体のOCM関連栄養素の不足により、3ヶ月齢産仔では、脂肪肝、肝への炎症性細胞の浸潤が認められており、3ヶ月齢で認められる遺伝子変化が、それら病態を引き起こした結果を観察している可能性が考えられた。 一方、令和4年度には、離乳時および3ヶ月齢における各種アミノ酸、脂肪酸の質量分析、フラックスアナライザーを用いた酸素消費量・エネルギー代謝測定の結果から、妊娠母体の葉酸不足が、成熟後の産仔においても、葉酸-メチオニン経路に影響し、脂質代謝を低下させていることを実証できたため、妊娠母体のOCM異常が、DNAメチル化異常以外のゲノムあるいはエピゲノム変化を誘導し、産仔の肥満およびエネルギー代謝異常を誘導していることは確実であり、妊娠母体のOCM異常が、仔の肥満を誘導している分子基盤の実証に近づいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母体のOne carbon metabolism制御異常と産仔の肥満感受性上昇についての関係について分子基盤解明に向けて、各種解析により裏付けがとれた。さらに、成熟後産仔の肝組織において、妊娠母体のOCM栄養素不足が産仔の肥満以外にも顕著な肝病変を引き起こす可能性を見出し、そのメカニズムについても脂質代謝低下に起因することが示唆され、新たな展開を迎えた。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.妊娠母体のOCM異常が、産仔の葉酸-メチオニン経路、ならびに脂質代謝にどのように影響しているのか、主に離乳時の肝、白色脂肪に着目した証明を行う。また、そのメカニズムが、それら産仔の成熟後の脂肪、脂肪肝、肝内炎症に帰結するメカニズムを検証する。その際、DNAメチル化のみならず、他のエピゲノム、あるいはゲノム異常についても検討に入れる。 2.肝OCの脂質代謝への関与の有無とそのメカニズムについて明確にする。
|