研究課題/領域番号 |
20H03867
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
古市 保志 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80305143)
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研究分担者 |
桃沢 幸秀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (40708583)
高田 鮎子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (70825968)
清水 伸太郎 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80734235)
松下 健二 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 部長 (90253898)
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90262203)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 歯周炎 / SNP / 老化 / SASP / 歯周組織 / 消化管 / GWAS |
研究開始時の研究の概要 |
歯周炎は、罹患している患者の年齢層が高く、煙草や糖尿病などの環境要因の影響が強く現れることが知られている。そのため、歯周病に対する遺伝的要因の影響を詳細に調べることは難しく、多くの患者サンプルを用いた研究が必要とされている。一方、老化細胞では、明らかな細菌感染などの原因が無くとも炎症を亢進させるサイトカイン分泌等が促進されていることが知られており、高齢者において疾患が慢性的になり、炎症が継続する理由の一つと考えられている。今回の研究課題では、歯周炎と老化に関する遺伝子の解析を行うことによって、歯周炎の罹患に関する遺伝的な影響を老化という観点も加え、より総合的に解析しようとするものである。
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研究実績の概要 |
1.既報の歯周炎のGWAS 解析に用いた集団において、同定された歯周炎のリスク候補アレルのSNPおよび喫煙の影響について解析を行った。結果、rs2392510(GPR141 遺伝子)のSNPは、年齢と血清ニコチン濃度とに有意な正の相関、残存歯とに有意な負の相関を有することが明らかとなった。また、THP-1細胞を用いたin vitro実験によってGPR141 遺伝子は炎症時または喫煙時に発現が減少する可能性が示唆された。 2.老化誘導細胞を用いて誘導前後およびP. gingivalis 刺激前後の細胞接着因子の動態と局在および細胞透過性の変化を解析した。結果、P. gingivalis 刺激を受けた老化誘導細胞群では、他の細胞群と比較して細胞接着因子の発現の変化および局在を示し、さらに細胞透過性の亢進を認めた。 3.老化誘導細胞を用いたin vitro研究に引き続き、老齢マウスに P. gingivalis の経口投与によって歯周炎を惹起したモデルを作製し、歯周病原菌と老化が歯周組織、腸管細菌叢および腸管上皮細胞の細胞接着因子発現に及ぼす影響を解析した。結果、老齢マウスにP. gingivalis を経口投与した群では、若齢マウス群、若齢マウスにP.gingivalis を経口投与した群、あるいは老齢マウス群と比較して血中サイトカイン濃度が上昇、腸内細菌叢にdysbiosis を認め、さらに腸管の細胞接着因子発現に影響を及ぼしていたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回の研究課題は、in vitro による実験結果を動物実験によって検証することを基本方針として行ってきた。しかしながら、研究課題採択時の2020年にコロナ禍が勃発し、研究の大幅な遅延を強いられた。2021年度に入り研究機関の立ち入りや感染対策上も制限が緩和されたことから、in vitro 実験については、かなりの部分を年度内に行うことができた。しかしながら、老齢マウス実験については、開始が遅れたことから、当初の予定より半年程度の遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、in vitro 実験を行い、動物実験を開始した。3年目には、動物実験を終了し、必要であれば追加実験を行い、後半には研究全体の解析とまとめを行う予定である。また、in vitro および動物実験共に日進月歩で多数の新規解析方法が報告されていることから、常に関連研究の発表を注視し当該研究課題に最適な解析方法の導入の要否を検討してゆく。
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