研究課題/領域番号 |
20H03913
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
和足 孝之 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (00792037)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 診断エラー / 患者安全 / 患者中心性 / 医療訴訟 / 誤診 / 医療の質 / Diagnostic Excellence / 医療過誤 / 診断学 / 総合診療 / 医療安全 / 医療ミス / 患者中心の医療 / 認知バイアス |
研究開始時の研究の概要 |
医師の診断エラーで米国では年間4-12万人が死亡、総医療費の約30%の損失があると試算された。しかし我が国では医師の診断エラーの研究はなされてこなかった。我々はわが国で初めて医師の診断エラーの関連要因を医療裁判判例の解析、医師の省察による診断エラー研究により明らかにした。これを発展させるべく、米国ハーバード大学と共同で①患者側からみた診断エラーに関する日米市民調査、②救急初診時の診断から追跡する診断エラー前方視観察研究、③医師の診断エラーの日米比較研究を実施する。これにより我が国の医師の診断エラーの頻度や推計値の算出が可能となる。診断エラーの社会的インパクトの大きさを見積もり、対策を提案する。
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研究成果の概要 |
米国では診断エラーにより年間約8万人の死亡者数と総医療費の約20%の損失が見積もられ、WHOやアメリカ医療研究品質局は診断エラーを人類が解決すべき公衆衛生上の最重要課題と設定した。我々のチームは医師の診断エラー省察研究(n=687)の分析や医療訴訟研究(n=3430)を実施し、様々な角度から診断エラーの実態や関連要因等を明らかにした。本邦の内科医の診断エラー症例の分析では一般外来(35%)と救急外来(31%)が特に多く、診断的不確実性が高い環境や夜勤帯や祝日などの医療資源が限られた状況で有意に診断エラーが発生しやすいことを米国ミシガン大学、ハーバード大学との共同研究の上で明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本における診断エラーの研究は重要な意義を持つ。学術的には、診断エラーの発生状況や要因を多角的に明らかにすることで、医療現場での診断プロセスの改善に貢献する。特に、一般外来と救急外来での診断エラーの高発生率と、それに影響を与える要因を特定することで、診断の質向上に向けた具体的な対策を提案することができた。また、限られた医療資源下での診断エラーリスクを明示することは、労働環境の改善や医療政策の見直しに寄与するであろう。社会的には、診断エラーの防止は患者の安全を守り、医療費の削減にもつながる。これらの研究成果は、日本の医療制度全体の質向上に寄与し、国民の健康増進に大きく貢献するものである。
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