研究課題/領域番号 |
20H03933
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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研究分担者 |
アウン メイジソウ 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10749584)
川口谷 充代 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70733062)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80396308)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | MRSA / Staphylococcus argenteus / 分子疫学 / 抗MRSA薬耐性 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / 市中感染型MRSA / コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
日本および南・東南アジア(主にバングラデシュ、ミャンマー)を対象とし、最近新しい菌種として報告されたブドウ球菌種Staphylococcus argenteus、市中感染から分離される市中感染型MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、抗MRSA薬に耐性を示すブドウ球菌について、それらの分布の実態、薬剤耐性度、薬剤耐性のメカニズムについて解析する。得られた情報に基づき、薬剤耐性ブドウ球菌の拡がりを抑える方策を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、近年注目されている新規ブドウ球菌種S. argenteus、市中感染型MRSA、薬剤耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)について、それらのアジアにおける分子疫学的状況を明らかにし感染対策の方策を探ることである。北海道での血液由来株の解析は、全ゲノム解析も含め終了したところである。海外との共同研究では、ミャンマーにおいてヤンゴン総合病院での臨床分離株を解析し報告した。2020年4月から2年間で収集した226株を対象とて解析したところ、MRSAは19%に検出され、PVL陽性株の割合はMRSA(22%)よりもMSSA(33%)において高かった。MRSAではST361、ST772、ST239が多くを占めた。またMSSA株に新規のコアグラーゼ型(XVI)が同定された。S. argenteusは15株分離(すべてST2250)され、うち1株はPVL陽性で、2株はMSSAと同時に検出された。バングラデシュでは保存収集されていた菌株についての解析を、今年度末に開始し現在も継続中である。健康成人の口腔に分布するブドウ球菌の研究では、北海道における332人の対象者のうち105人から、6株のMRSAと110株のMSSAを分離した。MRSAはCC5、CC8、CC45、CC59に型別され、CC8株の中に、米国で優勢なUSA300クローンに類似するST6562が検出された。市販挽肉から分離される黄色ブドウ球菌、CoNSの解析では、MRSAは検出されず、MSSAはいずれも家畜関連の遺伝子型に分類された。殆どの株は多くの薬剤に感受性を示したが、CoNSでは菌種によりホスホマイシン耐性遺伝子fosBの検出率が高く、fosBの系統解析では、菌種により異なる多様な遺伝子配列が存在することが分かり、本遺伝子の拡がりが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRSA、MSSA、S. argenteusの日本国内(北海道)における調査は、臨床分離株の収集、解析が進んでおり、健康成人口腔由来株の解析も継続中である。血液由来株についての解析は終了し、論文の作成を進めている。食品由来菌株については解析を終了した。アジアでの調査については、ミャンマーでは予定していた菌株の収集と解析を終えたところで、バングラデシュでは収集した菌株の解析を現在進めている。
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今後の研究の推進方策 |
北海道での血液由来MRSA(2020-2021)に関する研究成果を論文として公表するとともに、あらためて血液由来のMSSA、MRSAを収集解析し、遺伝子学的変化を調べる。特に注目されるクローンについて全ゲノム解析を行い、その由来を明らかにする。現在継続して収集中のS. argenteusについて、過去から3年間の分離株について分子疫学的に解析する。バングラデシュでの臨床分離株について、分子疫学的解析を行い、論文として公表する。
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