研究課題/領域番号 |
20H03983
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
西村 亜希子 香川大学, 医学部, 准教授 (70738674)
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研究分担者 |
荻田 美穂子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00455031)
古田 真里枝 京都大学, 医学研究科, 教授 (20390312)
細田 公則 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (40271598)
原島 伸一 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (80444793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | フレイル / サルコペニア / 糖尿病高齢者 / 予防ケアモデル / 看護ケア |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病をもつ高齢者は一般高齢者と比べてフレイルリスクが高いが、応募者らの予備調査では、日常生活動作自立状態でも既にフレイル発症頻度が高かった。合併症や不適切な食事療法、生活様式の違いなど糖尿病特有のリスク因子が挙げられ、より早期からの介入と個別的ケアの重要性が示された。本研究では、糖尿病高齢者に特化した糖尿病ケアと両立可能なテーラーメイド型フレイル発症・進展予防ケアモデルの確立を目指す。方法は、①予備調査に基づく調査票を全国の糖尿病外来で展開、②そこからケアモデルに必要な信憑性の高いリスク因子と介入可能な要素を抽出し、有識者の知見と健康行動理論と統合してケアモデルを開発、③その効果検証を行う。
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研究実績の概要 |
全国の糖尿病専門外来での調査データの結果から、糖尿病高齢者のフレイルの特徴には性差があり、男性では糖尿病食事療法に取り組むことはフレイル予防にも関連があることが示された。一方で、糖尿病合併症のうち末梢神経障害、冠動脈疾患既往はフレイルに関連する因子であり生活背景では、独居がフレイル、サルコペニアに関連していた。女性では、骨格筋量高値であること、正常範囲内でのLDLコレステロール高値はフレイルやサルコペニア予防に関連しており、糖尿病合併症では末梢神経障害がプレフレイルに関連していた。また、糖尿病の食事療法はサルコペニアに関連しており、生活背景では独居がフレイル予防に関連していた。男女ともHbA1c、糖尿病罹病期間はフレイル、サルコペニアとの関連を認めなかった。これらより、糖尿病高齢者においては、加齢に加え、糖尿病合併症や糖尿病管理のための食事療法がフレイル、サルコペニアに影響を及ぼすが、その影響の仕方は、男女の体組成の差や、日常生活活動の違いによって異なり、フレイル予防においてもこれらの因子と、性差を考慮する必要性が示唆された。また、大都市圏と地方部における糖尿病高齢者のADLの低下の仕方も異なっており、社会資源の違い、社会サービスへのアクセスのしやすさなどが影響する可能性が考えられた。 また、ケアモデル開発のため、全国の臨床を糖尿病専門医、糖尿病看護認定看護師、日本糖尿病療養指導士、健康運動指導士などの臨床に携わる専門家から意見収集を行った。糖尿病高齢者のフレイルに関して、現在の情報収集、アセスメント、介入、評価の状況、糖尿病高齢者とケアに当たる医療スタッフが受け入れやすく、活用しやすいツールの形態や内容について意見を得、実際に実装可能なケアモデルと介入ツールの条件について示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、全国の糖尿病専門外来での調査データの結果のとりまとめ、文献レビューにより現時点までで明らかになっている最新情報、全国の専門家からの意見聴取から得られた情報をとりまとめ、フレイルケアモデル開発を開始する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症予防・対策の為、全国医療機関との調整、また、全国の専門家からの意見聴取のための会議を開くことが困難となり、研究計画全体に遅れが生じた。 2022年度は、各医療機関、専門家ごとに個別対応で会議、意見聴取の場を持つなど、感染対策に考慮しながら研究を進め、予定していた研究計画内容はおおむね予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症に関しては、行動制限等が緩和される傾向にあり、今後の影響は軽減されることが予想される。しかし、共同研究者は医療機関勤務する医療専門職であり、一般の社会生活者よりも行動制限が継続される可能性はある。これについては、2022年度に対応してきたように、地域や医療機関、医療専門職の個別の状況に応じて、実施可能な方法を検討し研究を進めていくことで、影響は最小限にできると考えられる。 また、文献レビューや、介入ツールのための資材選定など、同時進行で行えることは、可能な範囲で同時進行、順序を入れ替えるなどして、計画通り進められるよう努める。
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