研究課題/領域番号 |
20H04057
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903)
|
研究分担者 |
信迫 悟志 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50749794)
大住 倫弘 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (70742485)
嶋田 総太郎 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70440138)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | 脳卒中 / 失行症 / 物体操作 / 運動主体感 / 運動制御 / 左半球 / 失行 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション / 上肢運動 / 運動障害 / 視線 / 失行荘 / ニューロリハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中後失行症の主たる症状は道具の操作障害であるが、その合併はADL自立や職業復帰を阻害する因子となる。失行症患者に対してリハビリテーション医療が提供されるものの、そのメカニズム解明が進んでいないことを理由にエビデンスが不足している。本研究では失行症患者を対象に物体(道具)操作過程のどの構成要素にエラーが生じるかを定量的指標を用いて明らかにする。さらに、それぞれの構成要素に適応する臨床介入を実践し、その効果を検証する。検証には脳波解析も加え、脳内基盤を明らかにする。本研究の実現によって、失行症のメカニズムに基づくリハビリテーション・モデルの確立およびエビデンス構築に貢献できると考えている。
|
研究実績の概要 |
失行における道具使用障害は、道具使用時の運動計画や実行機能の障害を反映している可能性があるため、失行症の病態解釈において道具使用時の運動制御の分析は重要である。本研究では、三次元動作解析装置を用いて、左半球損傷患者における道具使用時の運動学的特徴を検討した。対象は左半球損傷患者5名と健常成人1名で全員右利きである。失行重症度を評価するApraxia screen of TULIA(AST)で、失行症患者3名と非失行症患者2名に分類した。左手で机上に置かれた金槌と釘を使用する課題を実施し、三次元動作解析装置で反応時間、リーチング時の上肢運動最大速度(ピーク速度)、ピーク速度出現時間、金槌動作時の上肢運動最大速度を算出した。また、上肢の各関節角度を求め、関節間協調性指標を算出した。リーチングの特徴が道具使用に特異的かを検討するため、金槌を把握して隣の籠に移す課題も実施した。
物品移動条件では、左半球損傷患者は健常成人と比較して反応時間の遅延を認めたが、リーチング時のピーク速度では著明な差は認めなかった。一方、道具使用条件では、左半球損傷患者は反応時間の遅延を示し、特に失行患者で顕著であった。また、失行患者はリーチング時のピーク速度が低下し、ピーク速度出現時間が早かった。道具使用条件では、物品移動条件よりも反応時間の遅延やリーチング時のピーク速度低下、ピーク速度出現時間の早期化が認められた。金槌動作時の上肢運動最大速度は、健常成人と比較して左半球損傷患者で低下していた。反応時間の遅延やリーチング時のピーク速度低下、ピーク速度出現時間の早期化は、フィードフォワードの障害(運動計画の障害)を反映するものであり、失行患者では道具使用における運動計画の障害がリーチングの時空間的制御に影響を与えた可能性が示唆された。また、これらの障害は道具使用に特異的なものである可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
入院患者のコロナ感染の影響で失行患者のデータ採取に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
母集団を増やし、より多くのデータを収集することが必要である。これにより、得られた結果の信頼性と一般化可能性を高めることができる。また、関節間協調性のデータ処理・解析を行い、運動障害の詳細なメカニズムを明らかにすることを目指す。これにより、道具使用障害における運動計画の障害をより正確に把握することが可能となる。
脳画像分析を取り入れ、失行の病態を包括的に理解することを図る。脳の構造的および機能的変化を明らかにすることで、道具使用障害との関連性を深く探求することができる。これにより、病態の理解が進むとともに、より効果的なリハビリテーション方法の開発に寄与することが期待される。
収集したデータと解析結果を基に、具体的なリハビリテーション効果の検証を行う。道具使用障害に対するリハビリテーションプログラムの有効性を評価し、患者の機能回復に向けた実践的なアプローチを提案することを目指す。
|