研究課題/領域番号 |
20H04061
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
肥後 範行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 室付 (80357839)
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研究分担者 |
山本 竜也 つくば国際大学, 医療保健学部, 助教 (60724812)
村田 弓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80512178)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | リハビリテーション / 脳卒中 / 可塑性 / 機能回復 / 巧緻動作 / 脳損傷 / 非ヒト霊長類 / 動物モデル / 神経可塑性 / 組織化学 / マカクサル |
研究開始時の研究の概要 |
脳損傷後に生じる運動機能障害の後遺症が大きな問題になっている。リハビリテーション訓練による機能回復の背景にある脳の変化を理解できれば、より有効なリハビリテーション法の開発につながる。本研究では脳損傷モデル動物に対して組織解剖学的手法を用いて、脳損傷後の運動機能回復の背景にある神経投射(脳領域間の結合)の変化の詳細を解明する。
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研究実績の概要 |
脳に損傷などの異常が無く把握動作の学習のみを行った健常マカクサルと、第一次運動皮質をイボテン酸を用いた興奮性細胞死により損傷した後、把握動作を用いたリハビリテーション訓練による機能回復が生じたマカクサルを対象として、機能代償に関わることが明らかになっている運動前野腹側部(PMv)に解剖学トレーサーであるビオチンデキストランアミンを注入した。ビオチンデキストランアミンが充分に神経細胞に取り込まれ軸索を通じて運動前野腹側部と直接結合している領域に移動した後に実験殺と還流固定を行い、その後に脳および脊髄組織を採取した。免疫組織化学染色によりビオチンデキストランアミンを可視化した結果、第一次運動野損傷個体の頭頂葉においては健常個体よりもその分布の拡大がみられ、新規投射の形成が示唆された。さらにこれまでの私たちの研究で、第一次運動野損傷後に機能回復が生じた個体では、機能代償にかかわるPMvから小脳核に至る投射が新規に形成されること、新規の投射は小脳コンパートメントマーカーの一つであるaldolase Cの発現が少ない領域に限られることを明らかにした。健常マカクサルの小脳における小脳コンパートメントマーカー(aldolase C、Phospholipase C beta 3 and Phospholipase C beta 4)の発現を調べた結果、小脳皮質、小脳核、前庭神経核におけるマーカーの発現は、げっ歯類小脳における発現よりも広範囲に拡大しているいることを明らかにした。この発現パターンの違いは、霊長類の小脳がげっ歯類の小脳と比べて運動機能だけでなく認知的な機能を持つことと関係している可能性がある。この成果を原著論文にまとめ、現在英文国際誌に投稿、査読中である。今後マカクサルにおけるマーカーの発現パターンと、第一次運動野損傷後の運動機能回復過程における投射変化の関係を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一次運動野損傷個体と健常個体の解剖学トレーサービオチンデキストランアミンの脳内分布比較についてデータが蓄積している。さらに霊長類脳における小脳コンパートメントマーカーの特徴的発現パターンに関するデータをまとめ国際英文ジャーナルへの投稿に至った。
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今後の研究の推進方策 |
第一次運動野損傷個体と健常個体の解剖学トレーサービオチンデキストランアミンの脳内分布比較についてデータをまとめ論文を執筆する。霊長類脳における小脳コンパートメントマーカーの特徴的発現パターンに関するデータに関して国際英文ジャーナルからの査読に適切に対応しアクセプトと公表を目指す。
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