研究課題/領域番号 |
20H04068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小池 関也 筑波大学, 体育系, 教授 (50272670)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 閉ループ問題 / ムチ動作 / 系の運動方程式 / 順動力学的シミュレーション / 動力学的貢献分析 / 全身の運動方程式 / センサー用具 / コツ / 用具の変形 / 運動依存項の生成要因 / 運動依存項 / 動作のフィードバック / 動作改善 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ハンマー投,棒高跳,ゴルフスウィングの各種スポーツ動作を対象として,これらの閉ループ問題を各種センサー用具を考案することによって解決するとともに,多体系として捉えた用具および身体の運動方程式を連成させて,用具-身体連成系の運動方程式が有する入出力間の因果関係から,身体各関節のトルク入力に対する全系の動作出力を把握し,高いパフォーマンスの実現に寄与している動作の力学的な特徴(運動のコツ)を抽出する.そして,得られた知見が対象者の動作を改善することに有効となることを検証する.
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研究実績の概要 |
棒高跳び跳躍動作の分析については,センサーポールを用いて男性棒高跳選手1名を対象として,中助走(12歩)による跳躍試技を行わせた.実験の結果,ボックスコンタクトからポール最大湾曲までのポール湾曲局面においては,計測した右手と左手の長軸力の分担比率は局面平均で,右手が52.0%,左手が48.0%であった.ポール最大湾曲から左手リリースまでのポール伸展局面においては,右手が53.0%,左手が47.0%であった.今回の計測では,ポールの変形の影響を受けにくい,右手グリップ部近傍のひずみゲージ出力とポール下端の地面反力情報を用いて,左右各手のポール作用力を算出した. ハンマー投げについては,ハンマーヘッドのスピード獲得技術において,遠心力による運動依存項の貢献を安定に帰着できた試技に対するハンマーヘッドスピード増加メカニズムを競技レベル別に検討した結果,エリート競技者においては,予備スウィング局面で獲得した各種状態量の初期値が,その間接的な効果から,第3および第4ターンにおけるヘッドスピードの増加をひきおこしていることを明らかにすることができた.今後は,なぜこの初期状態量項の間接的な効果によって,加速が生じるかについてのメカニズムを同様の3リンク劣駆動型リンクモデルによるシミュレーションによって明らかにする必要があるため,今後検討する課題とする. ゴルフスウィングのメカニズム分析においては,多リンク系のスウィング動作において,大きくシャフトが変形するような用具を介した動作において,その系の運動方程式の一般形式を導出し,動作生成メカニズムを定量化する場合には,説明変数として,その状態の変数に拡大系の状態変数を用いると,ハンマー投げの分析と同様の式によって動作生成メカニズムを表すことが可能になることをあきらかにしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続きコロナ禍により,被験者の移動や,実験室や陸上競技場への立ち入りが制限され,各種目における動作の計測の機会が強く制限されたため,動作データの取得が進まなかったため. 棒高跳び用のセンサーポールのキャリブレーションにおいて大変形による他軸からの干渉を十分に除去できておらず,跳躍の際の大変形における干渉が残っており,完全な非干渉化に至っていないため.また,座屈の影響が大きく,この影響の除去方法について検討するのに時間を要したため ハンマー投げにおいては,トルクが生じない受動的関節において,逆動力学演算から得られるトルクが0とならないことに対する改善法の検討に時間を要したため. ゴルフスウィング計測用センサーグリップハンドルにおいては,その機構的な柔らかさに起因する柔軟構造モデルの運動方程式の一般化に時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
棒高跳び跳躍動作の分析については,ポールの計測精度の向上を引き続き行い,跳躍データに対して,全身とポールの変形を考慮したシステムの運動方程式から,跳躍高獲得メカニズムの定量化を行う. ハンマー投げについては,ハンマーヘッドのスピード獲得技術における下肢や体幹の役割の明確化を容易とするためのモデル化について検討を行う.特に,エリート競技者においては,予備スウィング局面で獲得した各種状態量の初期値が,その間接的な効果から,第3および第4ターンにおけるヘッドスピードの増加をひきおこしていることを明らかにすることができたので,今後は,なぜこの初期状態量項の間接的な効果によって,加速が生じるかについてのメカニズムを同様の3リンク劣駆動型リンクモデルによるシミュレーションによって明らかにして,コツの抽出を行うとともに,その効果についてシミュレーションにより確認する. ゴルフスウィングのメカニズム分析において,今後は精度の向上したセンサーグリップを用いて得たキネティクスを利用して,スウィングメカニズムを明らかにする.
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