研究課題/領域番号 |
20H04085
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
上原 吉就 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70373149)
|
研究分担者 |
小松 知広 福岡大学, 医学部, 講師 (80838756)
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
山本 泰暉 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (10845506)
松村 剛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (20398192)
川中 健太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80339960)
北嶋 康雄 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (70734416)
道下 竜馬 福岡大学, スポーツ科学部, 准教授 (10632028)
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
|
キーワード | 高比重リポタンパク / アポリポタンパクA-I / 骨格筋 / 運動 / 筋サテライト細胞 / 高比重リポタンパク (HDL) / アポリ蛋白A-I(アポA-I) / iPS細胞 / 筋分化 / アポリポ蛋白A-I(アポA-I) / 高比重リポ蛋白 / アポリポ蛋白A-I |
研究開始時の研究の概要 |
高比重リポ蛋白 (HDL) は善玉コレステロールと呼ばれ,運動により上昇し不活動にて低下することが多く報告されている.このHDL 粒子の基本骨格となる蛋白はアポ A-I 蛋白であるが,その発現臓器は肝臓および小腸であることは教科書レベルで広く知られている事象である.骨格筋にアポA-Iの発現が同定されことになれば,筋局所において独自に HDL を産生し機能している可能性があるため,この生理的意義,調節機構の解明が必要とされる.
|
研究実績の概要 |
高比重リポタンパク (HDL) コレステロールは運動によって上昇することが知られているが、そのメカニズムは明らかになっていない。このHDL 粒子の基本骨格となる蛋白はアポ A-I であり、それは肝臓および小腸で発現、分泌されることが広く認知されている。本研究では骨格筋にもアポA-I蛋白が存在・発現し、運動によって活性化されるという仮説に基づいて、骨格筋局所において独立して HDL を産生する新規の骨格筋 HDL産生システムを明らかにし、その生理的機能や調節機構を解明することを目的としている。 2022年度は、野生型C57BL6マウスに高脂肪食負荷をおこなったモデルにおいて、回転ホイールを用いた6週間の自発運動をさせた。普通食モデルと対照的に肝臓におけるアポ A-I mRNA 発現は有意な上昇が認められた。普通食モデルでは下肢骨格筋におけるアポ A-I mRNA 発現は、Sol; ヒラメ筋、Gas-W; 腓腹筋(白色部)、Pla; 足底筋の足趾背面の筋で有意な発現上昇がみられたが、高脂肪食負荷モデルでは赤筋有意なヒラメ筋でのみアポ A-I mRNA 発現の上昇が認められた。 2021年度に引き続き、ヒト(健常者)iPS 細胞由来骨格筋筋芽細胞からアポA-I mRNA を抽出した後、既知の肝臓由来アポA-I mRNA 遺伝子配列を鋳型にして、5’-RACE法 および3’-RACE法 を用いたヒト筋細胞特異的スプライシングを解析では、骨格筋特異的なアポA-I 遺伝子配列の同定を行っている。現時点では5’-RACE法のみからアポA-I 遺伝子配列が同定できているものの、全て既存の配列であり新規のアポA-I 遺伝子配列の同定には至っておらず、電気刺激による負荷や薬物負荷条件下での解析を引き続き行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に分担者が作成済みである内因性のPax7タンパクをYFPで可視化可能なPax7-YFPノックインマウスの繁殖、および実験は順調に進んでおり、病理的解析では自発運動後のマウス腓腹筋でPax7陽性細胞にApoA-I蛋白発現が顕著に認められていた。 野生型C57BL6マウスにおいて、回転ホイールを用いた6週間の自発運動では、肝臓におけるアポ A-I mRNA 発現の明らかな変化を認めないにもかかわらず、我々の仮説どおり下肢骨格筋の主に背面の筋においてのみ有意にアポ A-I 遺伝子の発現上昇が認められ、ヒラメ筋においてはABCA1、SRBI、AMPKα1、PAX7、MyogeninのmRNA発現が併せて上昇する知見が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
・遺伝子改変マウスの導入以外の研究計画は、概ね順調に研究遂行が出来ている。2023年度も引き続き2022年度と同様に研究遂行していく。 遺伝子改変マウス(Pax7-YFPノックインマウス)に関しては、Pax7-YFPノックインマウスの繁殖、および実験が順調に進んでおり、運動介入、不活動による筋分化への影響ならびにアポA-Iとの関連性を検討している。 ・ヒト(健常者)iPS 細胞由来骨格筋筋芽細胞からアポA-I mRNA を抽出した後、既知の肝臓由来アポA-I mRNA 遺伝子配列を鋳型にして、5’-RACE法のみからアポA-I 遺伝子配列が同定できているものの、全て既存の配列であり新規のアポA-I 遺伝子配列の同定には至っていないため、2023年度は引き続き5’-RACE法 に加えて3’-RACE法 も用い、かつアポA-I mRNAの発現上昇時での分化細胞においても同様にヒト筋細胞特異的スプライシングの解析を行う。 ・野生型C57BL6マウスにおいて、回転ホイールを用いた6週間の自発運動における、有意なアポ A-I 遺伝子の発現上昇に関連する遺伝子(筋肥大・筋分化・脂質代謝、糖代謝関連遺伝子)の探索を行う。 ・アポ A-I 遺伝子の発現上昇メカニズムを解明するためにヒト(健常者)iPS 細胞由来骨格筋筋芽細胞を用いて、AMPK活性薬、PPARα・γ・δアゴニスト、PKA阻害薬、βアドレナリン受容体拮抗薬、脂肪酸、IL-6、IL-15等の様々なミオカインおよび阻害薬を用いることでアポ A-I 遺伝子の発現調節機構を探索する。 ・マウス腓腹筋由来の筋サテライト細胞の単離培養系が確立できており、この系を用いてApoA-Iの生理的意義の解明を進めている。
|