研究課題/領域番号 |
20H04097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
平島 雅也 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (20541949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 運動学習 / 無意識 / 歩行 / 運動記憶 / モーションキャプチャ / 誤差 / 適応 / アバター / VR / 長期間トレーニング / 運動器障害予防 / 長期的トレーニング |
研究開始時の研究の概要 |
運動指導の現場では、ジェスチャーや言語を用いて指導することが多い。しかし、指導者が意図した通りに相手に伝わるとは限らず、常に不確実性の問題を抱えている。本研究では、近年、心理学・神経科学の分野で注目が集まっている無意識的な運動学習系の機能を活用し、ロバストな運動学習支援システムを開発することを目的とする。全身運動をリアルタイムにフィードバックできるシステムを開発し、長期的な歩行適応トレーニングが日常の歩行動作を変容させる効果があるかを検証し、運動器障害になりにくい歩行様式へ自然と導くような歩容改善システムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、近年、心理学・神経科学の分野で注目が集まっている無意識的な運動学習系の機能を活用し、ロバストな運動学習支援システムを開発することを目的としている。 これまでは実験室環境において、トレッドミル上で歩く被験者の動きをモーションキャプチャで計測し、VR空間のアバターの動きとしてリアルタイムに提示することで、被験者が主体感を失わずにVR空間内で運動課題を遂行できるシステムを構築し、その視覚フィードバック情報を実験的に操作することによって、被験者の歩容を無意識のうちに変化させることができることを示してきた。 当該年度では、同様の適応実験を実験室外でも行えるようにするために、慣性式モーションキャプチャとVRヘッドマウントディスプレイを組み合わせた可搬式実験システムの構築を推進した。慣性式モーションキャプチャは、身体各セグメントへの装着や姿勢計測が容易に行えるというメリットがあるが、絶対位置の計測にドリフトが生じやすいというデメリットがある。そこで、絶対位置の正確な計測が必要な足部に関しては光学式モーションキャプチャを用い、体幹や上肢の姿勢については慣性式モーションキャプチャで計測するというハイブリットシステムを設計した。従来用いてきたVR描画プログラムは、一体のアバターを提示することを前提として書かれていたが、二種類のモーションキャプチャシステムから信号を受け取るために、二体のアバターを描画できるようプログラムの基盤部分の改変を行った。今後は、二体のアバターを整合性よく統合するプログラムを組み予定である。また、従来は大型スクリーンへ描画していたが、当該年度ではVRヘッドマウントディスプレイに提示できるように改変を行った。二体を統合する部分のプログラムが完成すれば、トレッドミルを備えた実験室ではなく、自由に歩き回れる広い空間での実験が可能な段階にまで来ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレッドミル歩行で学習した効果は、地面歩行には部分的にしか転移しないことが知られている。日常的な地面歩行への効果を見るためには、実験室内でのトレッドミルを用いた実験から脱却する必要がある。本年度は、慣性式モーションキャプチャの可搬性の良さと、光学式モーションキャプチャの正確さを組み合わせたシステムの構築を推進すると同時に、映像をVRヘッドマウントディスプレイに提示できるようにも設定が済んでおり、次年度中には、自由に歩き回れる広い空間での実験が可能となる見込みである。以上のことから、研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、慣性式モーションキャプチャで計測した体幹・上肢の姿勢データと、光学式モーションキャプチャで計測した足の位置データを統合して、一体のアバターの動きとしてVRヘッドマウントディスプレイへ提示できるシステムを開発する。このシステムを用いて、自由に歩き回れる広い空間で歩行適応実験を実施し、日常的な地面歩行を変容させることができるかどうか検討する。従来のトレッドミル歩行の実験では一直線上の歩行を扱えばよかったが、地面歩行の実験では、たとえ広い空間であっても、折り返しを含む歩行経路を設定する必要がある。本研究室で有している全19台のカメラでカバーできる空間の広さを考慮に入れ、折り返し回数ができるだけ少なくなるような経路設計を行う予定である。
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