研究課題/領域番号 |
20H04175
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
大村 廉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10395163)
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研究分担者 |
宮路 祐一 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (50712923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | ウェアラブル・コンピューティング / 無線電力伝送 / 電源管理 / コイル設計 / ウェアラブルコンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,各ウェアラブルデバイスの電源管理の手間軽減を目指し,ズボンと上着などの衣類間や,衣類とデバイス間で電力を伝送する際の適切な手法を明らかにすることを目的とする.まず,送信側および受信側のコイルの形状や大きさなどについて,コイルに生じる変形(曲げやシワなど)の影響を考慮しつつ,高い効率,かつ,安定した電力伝送を実現できる方法をシミュレーションによって明らかにする.次に,同様にシミュレーションを用いて人体に対する安全性を確認する.そして,安全性を確認した上で,各衣類上に実際にコイルを作成し,ユーザの各姿勢や動作状況下における伝送効率やその変化を評価し,各実装方式における有効性を確認する.
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研究実績の概要 |
2022年度は,1)曲げ半径をより網羅的に調査し衣類上での無線電力伝送における性質を明らかにすること,2)人体の影響(電力伝送時に人体が受ける影響,および,人体が近くに存在することによる伝送効率への影響)を明らかにすること,3)統合的なウェアラブルシステム作成への着手,を目標として研究を遂行した. 1)について,これまでスマートウォッチ等を想定した曲げ半径2cmの他,人体データを参考に,曲げ半径2cmから20cmまでバリエーションを増やし,コイル組合わせやズレについても考慮しながらシミュレーションにて効率の測定を行った.結果,殆どの場合,曲げが強くなると効率が低下するものの,5cm×5cmでズレがない場合においては曲げが強い方が効率が上昇する結果が得られた.また,高さ方向のずれが生じる場合には曲げ半径にかかわらず正方形同士の組合わせが最も効率が良いのに対し,横方向のずれが生じる場合にはズレの大きさによって正方形と正六角形の組合わせの方が効率が髙い場合があることが解った. 2)の実施として,人体モデルをシミュレーション上に配置し,腰部,腕,足部分にコイルを設置して,コイル電送効率の変化,および,人体への比吸収率(SAR)基準に基づく最大電送電力の評価を行った.結果から,伝送効率としては最大で25%程度電送効率が低下すること,および,一般環境で12W程度,管理環境では60W程度の電力電送まで可能であることが解った. 3)については,これまでの研究でズレ・曲げに対して髙い耐性が認められた5cm×5cmサイズの正方形コイルの作成を行った.これらのコイルを衣類上,トレーナーの腰部,ズボンの腰部・裾,靴下に設置して実機での評価環境を作成した.また,人体モデルに装着させて各姿勢での伝送効率を測定を行い,座位や歩行姿勢では大幅に伝送効率が低下する場合があることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で,形状について5種類のバリエーション(円形,正六角形,正方形,長方形,正三角形),サイズについて4種類のバリエーション(1cm,3cm,5cm,10cm)についてシミュレーションを用いて伝送効率の評価を行い,そのズレや曲げに対する耐性を明らかにした.そして,コイルサイズを5cmもしくは10cmmのサイズとし,正方形,もしくは,円形を用いればズレや曲げに対する耐性をもった伝送が期待できることを明らかにした.また、曲げについては,正方形同士の組合わせがその耐性が望めること,および,特定の条件下においては曲げが発生した方が効率が高くなる場合もあることが解った. 実機(5cmの正方形コイル,および円形コイル,10cm正方形コイル)の作成を行ない,シミュレーションと実機での結果がほぼ一致することを確認した.さらに,実際に衣類上への実装として,トレーナーの腰部に5cmの正方形コイル,ズボン腰部に10cmの正方形コイル,ズボン裾(足首)部に5cmの円形コイル,靴下足首部に5cmの正方形コイルを付与し,人体モデルが「立っている(立位)」「座っている(座位)」「歩いている(歩行)」「寝ている(仰臥位)」の各姿勢を取った状況において伝送効率の評価を行い,座位,および,歩行では腰部,足首ともにそれぞれ5%,20%程度まで伝送効率が低下する場合があることを確認した. 人体の影響(電力伝送時に人体が受ける影響,および,人体が近くに存在することによる伝送効率への影響)について,5cm×5cmの正方形コイルにおいて,最大で25%程度電送効率が低下すること,および,一般環境で12W程度,管理環境で60W程度の電力電送までであれば人体への影響が安全とされる基準範囲で実施可能であることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は1)人体への影響軽減(シールド)方法の検討,2)装着者の動作における効率変化の評価,3)統合的なウェアラブルシステムの実現を目標とする. 1)について,2022年度の研究結果から最大で25%程度の効率低下,および,伝送電力も12W程度(一般環境)に制限されてしまうことがわかった.この影響を低減するため,コイルと人体の間でのシールド方法について検討,評価を行う.既存研究においてフェライトを使用する方法が提案されており,まずはフェライト使用した方法の評価を行う.また,金属箔やメッシュを使用した方法など,他の方法についても検討を行う. 2)については,これまでに作成した5cm×5cmの正方形コイルの他,円形や正六角形,および,10cm×10cmサイズなどの他のパターンでコイルを実装して衣類に設置する.また,それぞれについて,姿勢だけでなく,歩行などの「動作」も含め伝送効率を明らかにする. 3)においては,実際にスマートウォッチなどウェアラブルデバイスへ電力を供給する衣類の作成を行ない,実用的な電力伝送システムのプロトタイプの作成を行い,伝送効率だけでなく使い心地などの評価を行ない,その実用性を検証する. これらを通し,本研究のアプローチである衣類上の無線電力伝送のアプローチについて,総括を行う.
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