研究課題/領域番号 |
20H04182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 高知工科大学 (2021-2023) 南山大学 (2020) |
研究代表者 |
野田 聡人 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (60713386)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 二次元通信 / backscatter通信 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で扱う二次元通信とは,電磁波を空中に放射するのではなく,二次元のシート状媒体に沿って伝送する形態の通信方式を指す.先行研究では,既存の通信機器のアンテナから先を二次元導波路およびそれ用の近接カプラに単純に置き換えただけにとどまる.本研究では,導波シートが通常の空間とは異なり人為的に特性を調整可能な特異な電波伝搬環境である事実に着目する.特にIoT 環境への応用を想定し,センサ端末などに対し,それ本来の小型・低電力性を犠牲にすることなく通信機能を付与できるように,二次元通信の特異な伝送特性のもとで,従来の標準的アーキテクチャからどのように転換するべきか,という問いに挑む.
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研究実績の概要 |
本研究は,シート状の薄い導波路を用いて電磁波を伝送する二次元通信において,特にIoT環境などへの応用を想定し,センサ端末などに対し,小型・低電力性を犠牲にすることなく通信機能を付与できるように,二次元通信の特異な伝送特性のもとで,従来の標準的アーキテクチャからどのように転換するべきかという問いを主題としている.令和3年度の計画は,本手法の応用によって二次元導波路上で低消費電力でデータ送信を行う方式の研究開発やbackscatter方式による実装を行うこととしていた. 実績として,backscatter二次元通信について試作端末を実装し,その低電力特性,通信速度とビット誤り率の関係などを明らかにした.3Mb/sまでの通信速度において,導波路への入力搬送波強度が20dBmで10^-3,10dBmでも10^-2のビット誤り率となった.空間中でのbackscatter通信と異なり,二次元導波路から外部空間への電波漏洩・放射はそもそも小さい(二次元導波路をアンテナとして捉えた場合のアンテナゲインが小さい)ため,10dBm程度の低電力の投入であれば,EIRP(等価等方放射電力)としては0dBmを下回るものと推測される. 通信端末の消費電力については,省電力化のための特別な設計最適化を行っていない,市販部品の組み合わせによる試作回路であっても,1.3mW以下の低電力で動作することを確認した.これは,Bluetooth Low Energyの代表的な市販チップセットの消費電力よりも一桁以上小さい値である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で説明した通り,本年度計画とした内容を含め,導波路協調型二次元通信の実装方式として有望な手法として初年度に見出したbackscatter方式を中心として,実機通信端末の試作を完了するなど着実に進展している.半導体不足や物価高等の影響により当初予定の物品調達が行えないなどスケジュール面での遅れは生じたが,予算繰り越しと購入品の再検討などにより立て直しを図った.
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今後の研究の推進方策 |
Backscatter方式の通信として現状最も成功している実用システムはRFIDであろう.Backscatter二次元通信の有望性を見出し,基礎検討も着実に進展していることから,今後は,現在実用化されているRFIDシステムと融合する方向性での新たな成果を目指したい.
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