研究課題/領域番号 |
20H04185
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
明石 修 国立情報学研究所, 学術ネットワーク研究開発センター, 特任教授 (60841202)
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研究分担者 |
水谷 后宏 近畿大学, 情報学部, 准教授 (40845939)
福田 健介 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (90435503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | ネットワーク管理 / 自律制御 / 機械学習 / 妥当性検証 / 検証 |
研究開始時の研究の概要 |
複雑化するネットワークの管理運用において,従来は個別操作の寄せ集めであった設定ワークフローを高い抽象度で表現可能とし,環境・実装依存の部分を隠蔽し,その実行結果もワークフロー全体として意図する通りであったことの妥当性をネットワーク状態観測を含めて検証する.ワークフロー記述は,基本操作をテンプレートとして抽出し,それらの合成として高い抽象度で表現する.妥当性検証は,全体意図記述とデータプレーン検証過程の学習を統合して自動化し,更に観測基盤経由のデータ参照に束ねて環境依存部分を抽象化して検証する.また適用先のネットワーク状態と共に学習する機構と連動させ,環境変化や障害時にも対応可能とする.
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研究実績の概要 |
本研究ではサービス設定ワークフローを高い抽象度で表現することにより環境・実装依存の部分を隠蔽し,ワークフロー全体としてネットワークオペレータが意図する通りの実行結果であったことの妥当性の検証を目指す.基本となる構成要素として,実際に運用されるネットワーク機器の設定情報へのラベル付けや構造化された状態での操作情報の取出し,入力時の設定記述の妥当性確認,適用先環境やその変化に応じた設定変更などの解釈抽出パート,およびその設定が運用者の意図として妥当であることの検証パートの技術構築に注力した.解釈抽出パートにおける構造化データ抽出手法としては,通常の設定情報から操作記述をテンプレートとして取り出し,テンプレートに対するパラメータ値に分離した上で,data-driven解析の手法を用いてこれらを意味付けし構造化した形で取出す手法の有効性を検証した.入力時の妥当性検証に関しては,言語モデルと自動設定フレームワークを連携させ,その有効性を検証した.また適用先環境に応じた設定に関しては,観測と強化学習を組み合わせ,その有効性を検証した.検証パートに関しては,ネットワークの挙動が運用者の意図通りであることの検証を目的とし,コントロールプレーン検証,データプレーン検証の両視点から,検証手法設計・構築を行う.特に,対象とするネットワークの形態や,様々なレイヤの管理運用手法が複雑に混在する現実のネットワークを意識し,そのモデル化,規模拡張性を解析しながら構築を進め,実際の大規模データセンタの設定等を含めて,その有効性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解釈抽出パートの設定情報へのラベル付けに関しては,ルータの設定記述から汎用的なテンプレートとパラメータに分離し,更に外部情報を利用する手法を構築し,実験・評価を進めた. 設定入力時の妥当性検証に関しては,自動設定フレームワークであるansibleをベースに,言語モデルでの学習と連携させ,その入力の妥当性を自動検証するシステムを作成し,その有効性検証を行った.また環境への適応に関して,サーバのリソース設定に注目し,システムのレスポンス観測と強化学習を組み合わせ,その有効性を検証した.本研究成果は査読付国際会議論文として発表された.検証パートに関しては,現実のネットワークの構造・制御手法・規模に対して,規模拡張性に留意しつつ,可変長なパケットヘッダ書き換えに対応したネットワーク検証技術に関して研究を進めた.インターネットでのデータ転送は,ルータ・スイッチで到着したパケットのヘッダと転送テーブルのマッチングを行うことで行われる.しかし近年、パケットヘッダの動的変更を伴うネットワーク制御 技術が導入されている(NAT, セグメントルーティング).これまでのネットワーク検証では、このような動的なパケットヘッダの書き換えを行うプロトコルを取り扱えず,高度な機能を持つネットワークの検証を行うことが難しかった.そのため,可変長ヘッダを用いるSRv6(segment routing over IPv6)に対応したネットワーク検証技術を開発し,実際の大規模データセンタネットワークの設定を含めて,その有効性を検証した.この研究成果は査読付国際会議論文として発表された.
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今後の研究の推進方策 |
解釈抽出パートの構造化データ抽出,適用環境に応じた設定変更やその妥当性検証に関しては,引き続きより現実に近い設定データを使いながら実験・評価を進め,手法の改良を行い,精度を高める.検証パートのネットワークの挙動の妥当性検証に関しては,現実のネットワーク構造や制御手法,オペレータによる解析・デバッグ手法を意識しつつ規模拡張性が充足されるように留意し,また検証手法自体の洗練化を含めて,設計と改良を行い,実験と有効性検証を進める.
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