研究課題/領域番号 |
20H04193
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60090:高性能計算関連
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
三輪 忍 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90402940)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | 高性能計算 / 並列プログラム / プロファイリング / トレーシング / プロファイル / トレース / 予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,ポストペタスケール高性能計算に資する革新的な並列アプリケーション解析基盤技術を開発する.具体的には,小規模実行時の実行時情報から大規模実行時の実行時情報を予測(実行時情報予測)する技術を開発することにより,超大規模アプリケーションの実行時情報収集に要する時間を大幅に短縮する.本技術により,現在の並列アプリケーションの詳細解析の問題点である大規模実行の必要性を解消し,数千から数万ノードを必要とする超大規模アプリケーションの詳細解析を可能にする.
|
研究実績の概要 |
2022年度はプロファイル予測に関する研究として,主に,関数コール回数予測の応用.ならびに,キャッシュミス回数予測手法の改良を行った.それぞれの研究内容を以下に述べる.
関数コール回数予測に関しては,既存の性能モデリングツール(Extra-P)に関する複数の資料(一部の資料は本研究課題の採択後に公開)を分析したところ,この手法は実行時間以外の性能メトリクスの予測にも応用できることがわかった.そこで,Extra-Pと昨年度までに開発した手法を用いた場合で関数コール回数予測の精度比較を行ったところ,Extra-Pの方が予測精度が高いことが判明した.そのため,関数コール回数予測手法の開発を中止し,予測された関数コール回数の応用について検討を行った.応用の1つとして,予測された関数コール回数を用いた場合に関数の実行時間予測精度が向上することを実験的に確認した.
キャッシュミス回数予測に関してもExtra-Pと昨年度までに開発にした手法の予測精度を比較したところ,昨年度までに開発した手法の方が高い予測精度を示すことを確認した.そこで,これまでに開発した予測手法の改良に引き続き取り組むとともに,この手法の適用範囲をL1DキャッシュからL2キャッシュとL3キャッシュに拡大した場合の評価実験を行った.その結果,提案手法はL2キャッシュのミス回数予測においては十分高い精度を示すことが確認できたものの,L3キャッシュのミス回数予測においては予測精度が著しく悪化することを確認した.L3キャッシュのミス回数予測において提案手法の予測精度が低いのは,提案手法のモデルではキャッシュサイズ等のアーキテクチャに関するパラメータが含まれていないことが原因と考えており,今後はこれらのパラメータを使用したモデルについて検討する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロファイル予測に関しては,既存の性能モデリングツールを実行時間以外の性能メトリクス予測にも応用できる可能性があることがわかったため,2022年度は上記ツールの適用範囲の調査に多くの時間を費やさざるを得なかった.これは当初想定していなかった研究プロセスであり,その結果,申請時の研究計画に遅れが出始めている.
トレース予測に関しては,昨年度までに開発したタイムスタンプ予測技術の改良と提案フレームワークへの実装を本年度は進める予定であった.しかしながら,補助員として期待していた学生を確保できず,実験が思うように進まなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
プロファイル予測に関しては,Extra-Pの適用限界を引き続き探るとともに,Extra-Pによる予測が困難な性能メトリクス(キャッシュミス回数等)については新たな予測手法の開発と改良に引き続き取り組む予定である.
トレース予測に関しては,一昨年度に開発した基礎的なタイムスタンプ予測手法の改良を進めるとともに,改良した手法を本研究課題のフレームワークへ実装する.また,評価対象のアプリケーションを増やし,より多くのアプリケーションに対する提案手法の有効性を検証する予定である.
ツール開発に関しては,引き続き実行時情報ごとに予測プログラムを開発する.ある程度の種類の実行時情報の予測が可能になり,かつ,予測精度がある程度高くなった段階で複数の予測プログラムをパッケージとしてまとめ,1つのツールセットとして公開する予定である.
|