研究課題/領域番号 |
20H04194
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60090:高性能計算関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂本 尚久 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (20402745)
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研究分担者 |
陰山 聡 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (20260052)
野中 丈士 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (80437293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | スマートin-situ可視化 / 数値シミュレーション / 時空間探索 / 因果探索 / 情報エントロピー / 最適視点推定 / 多変量データ解析 / 並列計算 / スマートIn-situ可視化 / 時空間データ探索 / 可視化 / In-situ可視化 / 適応的時間サンプリング |
研究開始時の研究の概要 |
近年注目を集めるIn-situ可視化手法では、大規模シミュレーション結果(数値データ)に対して大量の可視化画像が出力されるため、興味ある現象を確認するまでに多くの手間と時間がかかっている。本研究では、計算される数値データに対して、時間・空間・変数に関する3つの指標を使って状態変化を自動的に評価することで、可視化すべき時空間領域を効率よく特定し、再現される現象を科学的に分析し解釈するために重要な変数間の影響度を考慮した可視化を行う。そして、In-situ可視化における画像化時間の短縮だけでなく、数値データからの科学的知見を獲得するまでの時間をも短縮可能なスマートIn-situ可視化を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、大規模数値シミュレーションによって計算される数値データに対して、時間・空間・変数に関する3つの指標を設定することによって可視化すべき 時空間領域を効率よく推定し、in-situ可視化における画像化時間の短縮だけでなく、数値データからの科学的知見を獲得するまでの時間を短縮することができる スマートin-situ可視化を実現することである。 昨年度は、時空間中の最適視点を滑らかに接続することによって重要な状態変化を自動的に撮像し続けることができる最適視点経路推定法を開発した。この手法によって、重要現象の見逃しが少ない効果的なカメラワークが実現できた一方で、複雑な物理現象においては注目するべき空間領域に対する気づきが困難になる問題が発生していた。このような問題に対して、本年度は、最適視点からの可視化画像から、画像面上の重要領域を特定するためのエントロピー分布を推測し、その極大点をもとに注目領域を設定する最適カメラ注視点推定法を開発した。本手法を歯茎摩擦音発生シミュレーションに適用し、音源発生に影響を及ぼす圧力変動を効果的に捉えた可視化映像の作成に成功し、その効果を検証した。 本年度は、さらに、複数物理量の因果関係を効率よく探索するための独自の平行座標可視化手法を開発した。因果探索には特定の2変数に対してその関係を計算する必要があるが、解析対象となる変数が多数になる場合には、その変数特定に多くの手間が発生していた。本手法によって、大規模多変数データに対して全変数間の関係を概観することが可能になり、その結果に対する対話操作によって効率よく変数を特定することが可能になった。実験では、高解像度気象シミュレーションに適用し、雨雲の発達・衰退に寄与すると示唆される変数を特定することができた。 本年度の成果を、昨年より開発を進めているフレームワークに統合し、公開に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画において、物理空間中での重要領域の推定に、解析対象とする物理理療の空間分布に着目して指標化を試みていたが、適用する可視化手法が最終結果の精度に強く依存することがわかり計画を変更した。その対応に少し時間を要したが、結果として開発した最適カメラ注視点推定法は、すでに開発していた最適視点推定法との親和性も高く、評価実験において、当初想定していた結果を得ることもできた。計画変更により多少時間を費やししたため「やや遅れている」と判断したが、開発済み手法の拡張として実装できたため、フレームワーク化が容易になり、次年度の適用検証において、効率よく実施できることが見込めるため、大きな問題にはならないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、これまでに開発した手法を統合しフレームワーク化をすすめる。そして、そのフレームワークを、実際の大規模数値シミュレーション結果に対して適用し、手法の改善やパフォーマンスチューニングを実施し、スマートin-situ可視化基盤環境の完成を目指す。検証実験においては、当初予定の歯茎摩擦音発生シミュレーションと大規模気象シミュレーションに加え、磁気流体シミュレーションや空力音解析シミュレーションなど他分野での数値シミュレーションへの適用も予定しており、より汎用性の高いフレームワークとして広く一般に公開する。
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