研究課題/領域番号 |
20H04196
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 陽祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10633505)
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研究分担者 |
林 修吾 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20354441)
橋本 明弘 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20462525)
本田 匠 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (60756857)
三浦 裕亮 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70415991)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 雷放電 / 気象モデル / 雲微物理 / 雲物理 / 雲微物理モデル / HPCI / 雷 / 数値気象モデル / データ同化 / ポアソンソルバー |
研究開始時の研究の概要 |
雷を直接扱うことのできる雷モデルを結合した数値気象モデル(雷気象モデル)と大型計算機を用いて「現在の数値天気予報では予測されていない雷を直接扱い、 将来の数値天気予報での雷予測の礎となる雷気象モデルと雷データ同化技術を開発し、検証する」ことを目的とする。さらに次世代の大型計算機で実現されることが見込まれる「全球規模での雷を直接扱った数値実験を見据えて、全球規模で実行可能な雷気象モデルの開発」に世界に先駆けて着手する。 本研究の成果は、雷という人間生活に甚大な影響及ぼす現象の理解を深め、数値気象モデルでの雷予報に必要な知見を得ることに直結し、防災・減災に資する成果となる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は令和3年度までに実施してきた気象雷モデルの検証をさらに精緻に進めた。具体的には、令和3年度に数値実験と検証を実施した夏季の2事例に加えて、冬季の4事例を対象とした数値実験を実施し、雷放電観測(LIDEN)の観測結果との比較を実施し、気象雷モデルの妥当性を検証した。観測と数値実験の結果の比較から、気象雷モデルの計算結果は観測をよく再現していることを確認できた。 また、上記の6事例(令和3年度に実施した2事例+令和4年度に実施した4事例)を対象として、既存の手法(雷を直接計算しない数値実験の結果を用いて経験的に雷頻度を見積もる手法)によっても雷頻度を計算し、気象雷モデルによって計算された雷頻度との比較を実施した。この比較から気象雷モデルは、雷頻度を既存の手法に比べて、観測をよく再現している一方、雷の空間的な分布と時間変化は既存の手法とほぼ同等の性能を示すことを確認した。これらから、気象雷モデルは雷頻度を予測するモデルとして強力な手法であることが明らかにできた。これらの結果は投稿論文としてまとめて投稿し、令和5年4月1日査読中である。 加えて雷観測データのデータ同化に関する研究として、観測システムシミュレーション実験(OSSE)も令和3年度から引き続いて実施した。この結果についても投稿論文としてまとめて投稿し、令和5年4月1日現在、査読結果を受けて改訂中である。 加えて気象雷モデルの応用例として、雷起源の窒素酸化物に関する数値実験を実施し、富士山山頂での観測と比較した。この結果についても投稿論文としてまとめて投稿し、令和5年4月1日現在、査読結果を受けて改訂中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始時に本研究の目的として掲げた3項目、「1、現実事例で利用可能な雷気象モデルの開発」、「2、雷観測データを用いたデータ同化技術の開発」、 「3、次世代の雷気象モデルの礎を築くための数値モデルの基盤的な開発」のうち、1、2については、それぞれについて、2編の投稿論文を出版または投稿できている。3については令和3年度までにポアソンソルバーの開発が概ね完了している。 加えて、「雷起源の窒素酸化物に関する数値実験」という計画にはあったが主な目標ではなかった研究事項にも取り組むことができ、投稿論文として投稿ができるまでの成果が出ている。 以上から研究は計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は最終年度であるため、現在投稿中の論文の改訂作業を実施して、投稿論文として出版するとともに、国際学会などでの発表を行い、広く研究を世界に発信する。 同時に、本研究で開発した気象雷モデルやそのデータ同化技術を用いて、新たな研究を立ち上げるための取り組み(新しい競争的資金への応募や共同研究の開始)を実施することで、本研究で得られた成果を、次の研究に繋げる取り組みを実施する。
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