研究課題/領域番号 |
20H04202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
若槻 尚斗 筑波大学, システム情報系, 教授 (40294433)
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研究分担者 |
水谷 孝一 筑波大学, システム情報系, 研究員 (50241790)
亀川 徹 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (70359686)
善甫 啓一 筑波大学, システム情報系, 助教 (70725712)
海老原 格 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80581602)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 立体音響 / サラウンド / 受聴範囲 / 平面波スピーカ / 少チャネル / 斜放射平面波スピーカ / リレー駆動 / 少チャネル数 / 音響放射パネル / オーディオ帯域 / 波動伝搬特性 / アルミハニカムパネル / エネルギー分布 / 斜方放射平面波スピーカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は少ないチャネル数で広い最適受聴範囲をもつ立体音響システムの実現を目指し,申請者らの提案した大面積の平面パネルから斜めに音波を放射するデバイスの応用を試みる。研究計画は,1年目「所望の平面波放射角をもつ音響放射パネルの設計」,2年目「斜放射平面波スピーカモジュールの設計と試作」,3年目「立体音響システムの構成と受聴範囲の検証」,4年目「立体音響システムの実装と従来システムとの比較実験」からなり,最終的に,部屋の隅々まで適正な立体音響効果が得られるシステムの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本課題は比較的少チャネル数のサラウンド方式が検討対象であり,少ないチャネル数かつ広い受聴範囲の実現を目標とする。解決手段として申請者らがこれまでに提案した斜放射平面波スピーカを用いることで受聴範囲の拡大を図るものである。令和4年度は,前年度に製作した平面波スピーカモジュールをベースとして,必要な大きさを確保するためスピーカモジュールを複数リレー駆動する方式の検証を行った。また,関連する研究として,ホールの舞台上における音源位置とその指向性をサラウンドシステムなどにより拡声するシステムに反映させることを想定して,基本部分の実装を行った。 リレー駆動については,これまでの研究結果を参考に,パネル同士を機械的に接合することなく,単純に並べて設置して伝搬遅延時間に相当する遅延時間を与えて駆動する方式について,中継部分を中心に音場計測を行った。その結果,中継部分の放射音場は少し連続性が失われており,伝搬方向に乱れが観測された。音場全体としては乱れの生じる領域は大きくないものの,特性改善のためには端部における波動の反射を防ぐ方策を講じる必要がある。またパネル中の屈曲波の位相速度と群速度における周波数分散性などから,リレー駆動における遅延は周波数によって変化させる必要性などが示唆されたものと考える。これについては,翌年度に引き続き検討を行う。 関連研究である,ホールの舞台上の音源位置と指向性を拡声システムに反映させるシステムは,初期反射音をリアルタイムに再現する基本部分の簡易実装を行った。現時点では客席においてオープンイヤー型のヘッドホンまたは客席一つ一つに設置するスピーカを用いて再生することを前提としていたが,今後は本課題における平面波スピーカによるサラウンドシステムへの適用などを検討することで,本課題で提案するシステムの有効性を検証する手段の一つとすることを意図している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の当初予定では,複数のモジュールを組み合わせてサラウンドシステムを構築して無響室実験を行うことを計画していたが,サラウンドシステムを構築する実験の過程で,複数のモジュールをリレー駆動する方式を採用する場合の音場の連続性などについてより検討が必要であることが見出されたため,サラウンドシステム全体を構成して計測を行う実験は少し先送りすることにした。
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今後の研究の推進方策 |
前項で言及したように,サラウンドシステム全体の構成については少し遅れていたが,複数のモジュールの中継については引き続き検討を行うとともに,令和5年度の7月頃までに現時点までの知見をもとに平面波スピーカモジュールを組み合わせ,サラウンドシステムを構成して無響室実験を実施する。その際,音場測定に加えてヒトの聴覚による評価を令和5年度の10月頃までに実施することを計画する。 また,これらの成果をまとめ,電気音響関係の分野に雑誌論文として投稿し採録を目指す。
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