研究課題/領域番号 |
20H04214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
澤田 秀之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00308206)
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研究分担者 |
重宗 宏毅 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40822466)
ハルトノ ピトヨ 中京大学, 工学部, 教授 (90339747)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 形状記憶合金 / 高速相変態 / 触覚計測 / 触覚提示 / 触覚通信 / ソフトセンサ / ソフトアクチュエータ |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、SMAの微細ワイヤにパルス電流を流すと、その周波数に同期して300Hzを超える十分に触知覚が可能な振動が発生することを見出した。本研究では、Ti-Ni-Cu系SMAワイヤを中心とし、その高速伸縮動作と時間応答を精密に測定して、物性的特性を解明する。また、SMAの変態動作のダイナミクスならびに変態量を制御する手法を確立し、ソフトアクチュエータ、フレキシブルセンサへの応用展開を図る。更に微細ワイヤの特徴を生かし、微小振動パターンによって様々な触覚感覚を人工的に創り出して触覚伝送を可能とする、双方向触覚コミュニケーションシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
形状記憶合金(SMA)の相変態は熱の移動によって引き起こされるため、これまでは高速動作が要求されるようなアクチュエーションとその制御には不向きであると考えられていた。申請者らは、SMAの微細ワイヤにパルス電流を流すと、その周波数に同期して300Hzを超える周波数まで、十分に触知覚が可能な振動が発生することを見出した。本申請研究では、SMAワイヤの高速伸縮動作と時間応答を精密に測定して、物性的特性を解明することを目的とする。更に、SMAの変態動作のダイナミクスならびに変態量を正確に制御する手法を確立し、ソフトアクチュエータ、フレキシブルセンサへの応用展開を図る。 第2年度となる本年度は、SMAワイヤに与える応力と温度ならびに、その際の変位量の計測値をもとに、最大の変位を与える物理条件について考察をおこなった。次に、Ti-Ni-Cu系SMAワイヤについて微小振動の物理モデルを構築し、有限要素法により高速変態の解析と考察をおこなった。SMAに流すパルス電流値、パルスの周波数およびDuty比を様々に変化させて物理シミュレーションをおこない、実験による変位計側の結果と併せてSMAの高速動作メカニズムについて考察した。 更に、SMAワイヤのソフトセンサ・アクチュエータへの応用展開を進めた。まずは人間が指で素材をなぞった際に知覚する触覚感覚を、同様のなぞり動作によって計測できる触覚センサを開発した。本年度は単一センサによって素材をなぞることで得られるデータを取得し、異なる素材について特徴が得られることを確認した。また、5×5のSMA素子を高密度に配置した触覚ディスプレイの構築を進めた。次にSMAワイヤを柔軟なアクチュエータとして応用した魚ロボットを開発した。SMAアクチュエータに流す微小電流を制御することにより、様々な遊泳動作が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形状記憶合金の相変態は熱の移動によって引き起こされるため、これまでは高速動作が要求されるようなアクチュエーションとその制御には不向きであると考えられていた。実際、これまでのSMAアクチュエータの応用例としては、速度が要求されない小型ロボットの人工筋肉、内視鏡カテーテルや、各種締め付け具、体温に反応して形状が復元する歯科矯正具や肌着などに留まっている。申請者らは人間型ロボット用アクチュエータの研究開発の中で、微細ワイヤに加工したTi-Ni-Cu系SMAワイヤにパルス電流を流すことによって、長さ方向にその周波数と同期した伸縮を起こす現象を発見した。本申請研究では、1kHz程度のパルス周波数にまでSMAが応答して微小振動を起こす現象について考察をおこない、新しいソフトアクチュエータを構築することを目的とする。また微小振動を制御して様々な触覚感覚を生成して伝送することで、双方向触覚コミュニケーションを実現する。 本年度は、SMAワイヤに微弱なパルス電流を流すことで、その周波数に同期して起こる高速伸縮動作と時間応答を精密に測定し、その物理特性を考察した。並行してSMAワイヤについて微小振動の物理モデルを構築し、有限要素法により高速変態の解析と考察をおこなった。これによりSMAワイヤの振動メカニズムの物理特性が明らかとなり、1kHzまでの高速振動を制御する手法の確立につなげた。 またSMAワイヤのソフトアクチュエータ。センサへの応用展開を進めた。特にSMAアクチュエータを高密度に配置した新しい触覚ディスプレイを製作し、5×5=25個のアクチュエータを同時に駆動して様々な触覚感覚を提示する手法の検討を進めている。更にSMAをソフトロボットへのアクチュエータ、センサとして応用した。 以上の成果は、当初の研究計画に沿ったものとなっており、これまでの研究成果については複数の論文に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、Ti-Ni-Cu系SMAワイヤを中心とし、パルス電流によってその周波数に同期して起こる高速伸縮動作と時間応答を精密に測定し、その物理特性を解明することを目的としている。次年度も、実験によるSMA変位の精密測定を進め、FEM解析による物理シミュレーション結果と併せて、より詳細な高速変態現象の解明に繋げていく。これらの成果を基に、SMAワイヤの高速変態を精密に制御する手法を確立し、新しいソフトアクチュエータの実現に繋げていく。またSMAの変態に伴い、ワイヤの内部抵抗が変化することも確認した。この現象を利用することで、SMAの変態を制御しながら、ワイヤに作用する応力も同時に計測が可能であることも解った。これにより、変位のフィードバック制御が可能となり、これを実現する回路の提案と構築を進めていく。 微細ワイヤの柔軟性、軽量性、省電力動作などの特徴を生かし、微小振動パターンによって様々な触覚感覚を人工的に創り出す触覚ディスプレイならびに、微小応力の計測が可能であることを活かした触覚センサへの展開を進める。人の触覚受容器の構造と機能を踏まえ、触覚感覚を計測してこれを遠隔地において再現・提示するセンサ・ディスプレイの構築を進めて行く。更に、本SMAデバイスは、これまでの振動アクチュエータ、微小応力センサには無い、高い柔軟性や応答性を持つ。ソフトアクチュエータ、ソフトセンサとして、新しいロボットやインタフェースへの実装を進め、本デバイスの有効性を示していく。
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