研究課題/領域番号 |
20H04233
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
柳田 康幸 名城大学, 情報工学部, 教授 (70230266)
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研究分担者 |
野間 春生 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00374108)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 嗅覚提示 / 空気砲 / 渦輪 |
研究開始時の研究の概要 |
ユーザに機器を装着させることなく香りの提示を行う一手段として、渦輪の利用が提案されている。本研究では、渦輪を生成する新しい方式として、空気砲開口部を多数の噴出口の集合体で構成するクラスタ型デジタル空気砲 (Cluster Digital Air Cannon: CDA) を提案し、その特性の解明と応用研究を行う。CDAは、個々の射出孔から噴出する空気の流速とタイミングを独立に制御可能であるため、渦輪の最適化、香り搬送効率の向上、高速な香り切り替え、機械的可動部を持たない各種制御など、従来形空気砲では困難だったさまざまな機能が期待される。
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研究実績の概要 |
クラスタ型デジタル空気砲 (Cluster Digital Air Cannon: CDA) を用いた香り搬送機能について,複数の側面から流体シミュレーションと実機による検証により研究を進めた.本年度は香り搬送効率の向上,到達距離向上,および渦輪衝突を用いた「香像」の生成について取り組んだ. 香り搬送効率の向上に関しては,インクジェットヘッドを利用してCDA本体前面の外周部に香りを充填することにより香り搬送が可能であることを実機により確認した.空気砲本体内部や空気射出用エアチューブ内に香気を導入しないため,複数の香りを提示する際に意図しない香りの混合を回避できることが期待される. 渦輪到達距離の向上に関しては,渦輪生存時間内に到達できる距離の向上を目指し,渦輪速度の向上を試みた.前年度にCDAの連射により後発の渦輪が先発の渦輪を後押しし加速する効果を確認していたが,今年度はこれを一歩進め,CDAの内周部から外周部へ向けて順次射出していくことにより,渦輪を成長させながら後押し効果が得られることを流体シミュレーションにより発見した.この射出方法は従来の箱形空気砲では不可能であり,CDAならではの渦輪生成手法と言える. 渦輪衝突を用いた香像生成に関しては渦輪の時空間軌道の安定化のために高度なタイミング制御が必要であるが,この点において問題に直面した.すなわち,空気を射出するエアバルブのタイミング制御性能に限界があり,指令した通りのタイミングではバルブ開閉動作が行われていないことが実験により明らかになった.これにより従来合理的な説明ができなかったCDAの一部挙動の原因が解明され,エアバルブの動作特性を考慮した上でCDA構成の最適化を図ることが可能になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CDAの基本機能については順次検証を進めており,当初想定していなかったCDAの射出方法を見いだすなど,一部では計画以上の進展も得られた.特に,従来の箱形空気砲では不可能なCDAならではの渦輪形成手法をシミュレーション段階ながら見いだしたことは本研究にとって大きな前進である.その一方,渦輪射出のタイミング制御に関して問題が発見されたため,香像生成については当初計画通りには進行していない.ただし,現状の装置の問題点を把握することにより対策を講じることが可能になるため,問題が発見されたことも前進につながる結果であると考える. これらを総合し,全体としてはおおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
CDAならではの渦輪射出手法については流体シミュレーションで確認できた段階であるため,実機を用いて検証を行う.引き続き,CDA独自の渦輪生成手法について探索を続ける. また,エアバルブの開閉タイミング制御に関する問題が発見されたことに基づき,CDAの装置構成を見直した上で,CDAの基本機能・性能を実現することにフォーカスする.特に,エアバルブの開閉タイミング特性に基づき制御可能な範囲を明確にした上で対策を行い,CDAの基本性能確立を目指す.
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