研究課題/領域番号 |
20H04246
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
塚田 啓道 中部大学, AI数理データサイエンスセンター, 准教授 (40794087)
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研究分担者 |
津田 一郎 中部大学, 創発学術院, 教授 (10207384)
塚田 稔 玉川大学, 脳科学研究所, 客員教授 (80074392)
奈良 重俊 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (60231495)
山口 裕 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (80507236)
杉崎 えり子 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (20714059)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 時空間学習則 / 文脈情報処理 / 実験と理論の融合 / フラクタル / ニューラルネットワーク / アセチルコリン / CA3 / 記憶と学習 / LTP/LTD / 学習と記憶 / 海馬 / リカレントネットワーク / 脳型記憶学習情報処理 |
研究開始時の研究の概要 |
我々人間の脳は時々刻々と変化する外界の大容量同時並列のダイナミックな情報を、限られた記憶ネットワーク空間に効率的に情報圧縮し学習・記憶する情報操作機能を持っている。これらの情報処理は、“注意”や“意識”に代表されるトップダウン情報を巧みに利用することで実現可能となっている。 本研究では、トップダウン情報処理がボトムアップで形成された文脈情報をどのように修飾・統合するかを理論と実験の融合研究により明らかにする。その知見に基づいて脳の記憶情報処理の優れた特徴を人工神経回路網に組み込み、応用として人工知能への脳的高次機能搭載を視野に入れた次世代の脳型記憶学習情報処理システムの基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は脳の記憶ネットワーク空間に文脈情報を効率的に情報圧縮し学習・記憶する情報処理メカニズムについて研究を進めている。 生理学実験では、これまで海馬CA1領域でのみ存在が確認されていた時空間学習則(STLR)が、前年度海馬CA3領域で初めて観測され、本年度はこの結果を補強するための追加実験を行なった。結果としてSTLRはアテンション等のトップダウンの情報処理時に分泌されるアセチルコリンの投射と連動して学習が行われることが再確認された。これらの結果は文脈情報の時間順序の識別能力が高いSTLRが海馬CA3領域においてトップダウン情報に基づく文脈記憶生成を行っている可能性を示唆している。現在これらの実験研究成果をもとにトップダウン情報を用いた文脈情報の記憶学習モデルの開発も新たに開始している。 STLRを用いた神経ネットワークの数値実験においては、STLRの時間履歴と文脈情報の時間順序識別能力との関連性評価を行ったところ、時間履歴を含んだSTLRが圧倒的に文脈情報の時間順序識別能力が高くなることを新たに発見した。STLRの重み分布の解析においては、類似した重み分布であるにもかかわらず、時間順序識別能力が極端に異なるケースがあることが明らかになった。これらの結果は重みの空間分割や階層性とダイナミクスの間に深い関連性があることを示唆しており、今後さらなる解析を行う予定である。 理論研究においては、STLRのカルシウム濃度とLTP/LTDに深く関連する閾値の範囲を拡張することにより、これまでのSTLRの文脈情報の時間識別能力を飛躍的に向上する可能性を新たに見出した。また、STLRをシステム理論の枠組みで捉える新たな学習モデルの研究も推進している。本研究成果を基盤として並列情報処理のハードウェアに実装する計画も新たに開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験研究では前年度海馬CA1でしかその存在が確認されていなかった時空間学習則(STLR)が海馬CA3領域において初めて観測されたが、本年度の追加実験でも同様の結果が得られた。さらにアテンション等のトップダウン情報処理時に分泌されるアセチルコリンの投射に連動してSTLRが稼働するメカニズムも同様に再確認された。 また、理論研究においては、これまでのSTLRの学習則の特徴を理論的に定式化する中で、学習則の文脈学習能力を広範囲のパラメータ領域で実現可能な拡張時空間学習則(E-STLR)のアイディアが新たに生まれた。今後このモデルを使うことで、より広範囲のパラメータ領域で文脈の情報圧縮が実現する可能性が新たに見出された。 これらの発見は当初の予定を超える大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
理論研究に関しては、本年度新たに提案されたE-STLRについての数学的定式化を進める。同時に、簡単な数値実験によりE-STLRとオリジナルのSTLRの時系列分離能力の違いを検討する。STLRのシステム理論化への研究についてはランダムウォークとの関連性評価および力学理論との整合性を検討する。これらの理論検討の結果を論文にまとめる。数値実験に関しては、時間履歴を伴うSTLRの系列順序分離能力について結果をまとめ論文化を行う。また、学習過程で重みの階層性や空間分割パターンがどのように変化するかを解析し、重み分布が同一でも文脈情報の識別能力が全く異なる原因を明確化する。生理学実験に関しては、海馬CA3でのSTLRの発見とアセチルコリン投射と連動して作用するSTLRの実験成果を論文にまとめる。
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