研究課題/領域番号 |
20H04270
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉澤 誠 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 学術研究員 (60166931)
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研究分担者 |
田中 明 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (10323057)
八巻 俊輔 東北工業大学, 工学部, 准教授 (10534076)
湯田 恵美 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50771763)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
杉田 典大 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (90396458)
山邉 茂之 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (90533670)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 自動運転 / 乗り物酔い / 映像脈波 / シミュレータ / 動揺病 / 乗り物酔い防止 / 能動性 / 交通事故 / モーションベース / 不完全自動運転 / 前庭感覚 / 臨場感 / HMD |
研究開始時の研究の概要 |
不完全な自動運転は,運転者の乗り物酔いのリスクを高める可能性があるため,交通事故を誘発する恐れがある.そこで本研究では,不完全な自動運転中の運転者の乗り物酔いの発症条件の解明とそれに伴う交通事故との因果関係を明らかにするとともに,乗り物酔いを低減する自動車に具備すべき具体的手段を得るために,次を行う.1)不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明,2)乗り物酔いを発症した運転者の判断・操作能力の低下と交通事故間の因果関係の解明,3)乗り物酔いを客観的・定量的に判断する自動車用センシングシステムの構築,4)不完全自動運転中の乗り物酔いを低減させる手段の提案とその効果の実験的検証.
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研究実績の概要 |
不完全な自動運転は,運転者の乗り物酔いのリスクを高める可能性があるため,交通事故を誘発する恐れがある.そこで本研究では,不完全な自動運転中の運転者の乗り物酔いの発症条件の解明とそれに伴う交通事故との因果関係を明らかにするとともに,乗り物酔いを低減する自動車に具備すべき具体的手段を得るために,次を行う.1)不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明,2)乗り物酔いを発症した運転者の判断・操作能力の低下と交通事故間の因果関係の解明,3)乗り物酔いを客観的・定量的に判断する自動車用センシングシステムの構築,4)不完全自動運転中の乗り物酔いを低減させる手段の提案とその効果の実験的検証. そこで本年度では,昨年度に引き続き,不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明に必要なドライブシミュレータ用ソフトウェアの構築と,運転中に運転者に加わる前庭感覚刺激の正確な再現方法に関する開発を行った. まず,昨年度に導入した6軸制御方式のモーションベース装置(WIZAPPLY製SIMVR)に基づいたドライブシミュレータの基礎的制御システムを,より実験に即したものにするように整備した.次に,これとともに,モーションベースを直接使用せずに運転者が受ける加速度感覚をより手軽に提示できるようにするための簡易的前庭感覚刺激装置を改良した.この装置は,着座した運転者の頭部を運転者が受ける加速度に応じた目標角度の通りに傾斜させるものであるが,新たに改良した制御方式を採用したことによって,昨年度と比較して本装置の角度制御精度が大幅に向上した.また,不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明に必要な,可視光および赤外線カメラを使って遠隔・非接触的に運転者の顔から脈波をロバストに抽出する方法を改良するとともに,血中酸素濃度を推定するための方法を新たに開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全自動運転に至る前の不完全自動運転の問題点は,自動運転中に乗り物酔い(動揺病)を発症し,その後手動運転に切り替わった場合に交通事故のリスクが高くなる可能性があるということである.これまでは,動揺病の原因として,運転者が加速度感覚を受けるときの視覚と前庭感覚との間の矛盾にあるという感覚不一致説が有力であったが,自動車内の運転者と同乗者では,両者がほぼ同一の加速度感覚を受けているはずにもかかわらず,同乗者のほうが酔いやすいという事実がある. そこで本研究では,感覚不一致だけが動揺病の原因ではなく,運転者と同乗者との間にある,前者は運転環境に対して能動的対処をしているが,後者は受動的であるという,能動性と受動性の間の相違も,動揺病の原因の一つであるという立場に立ち,被験者実験を行う. 本実験においては,遠隔・非接触的に運転者の生体情報を取得できることが望ましいが,本年度では,赤外線照射を必要とせずに可視光カメラだけを使って血中酸素濃度を推定する方法を新たに開発した.健常者91名を被験者に用いた実験から,新たに開発した方法の有効性が確認された.この成果は,2nd Prize, IEEE LifeTech 2022 Excellent Paper Award for Oral Presentation( http://www.ieee-lifetech.org/2022/awards.html)Makoto Yoshizawa, et al.: Basic Approach to Estimation of Blood Oxygen Saturation Using an RGB Color Camera without Infrared Light (2022年3月7日)を受賞し,高く評価された.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明に必要なドライブシミュレータの改良と運転中に運転者に加わる前庭感覚刺激の正確な再現方法,および遠隔・非接触的に運転者の身体情報計測方法に関する開発を行った. 次年度では,今年度に引き続きモーションベースを使用しない簡易的前庭感覚刺激装置の有効性を確認するとともに,これにより動揺病発症実験の効率をより向上させる. 次に,乗り物酔いを発症した運転者の判断・操作能力の低下と交通事故を誘引する過誤との間の関係を定量化する実験を行い,これが,自動運転と手動運転の切り換えの頻度に依存するかどうかを明らかにすることによって,切り換え時の危険性を定量的に明らかにする. また,以上の結果を踏まえて,特に実車実験での応用が可能になるように,遠隔・非接触的に運転者の生体情報を計測する方法をさらに改良することにより,乗り物酔いを客観的・定量的に判断するための自動車用センシングシステムの基礎的製作を行う.
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