研究課題/領域番号 |
20H04312
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60318194)
|
研究分担者 |
内田 昌男 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主幹研究員 (50344289)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | ブラックカーボン(BC) / 多環芳香族炭化水素(PAHs) / 燃焼生成マーカー / 燃焼記録プロキシー / ツンドラ火災履歴 / ツンドラ火災履歴復元 / ブラックカーボン / 放射性炭素 / 加速器質量分析計(AMS) / 極微量14C分析 / 永久凍土 / ステロール / 短鎖脂肪酸 / 加速器質量分析計(AMS) |
研究開始時の研究の概要 |
全球気候を激変させる恐れのある永久凍土融解の発生リスクを正確に予測するため、ツンドラ火災による凍土撹乱を含めた気候モデルの高精度化が極めて重要となっている。現在のモデルによる温暖化フィードバック予測における大きな誤差因子は、衛星観測以前の火災頻度推定の不確かさである。本研究では、ブラックカーボン(BC)、燃焼生成有機分子(PAHs, Retene)等の燃焼生成マーカー物質を用いて過去の火災イベントを復元するための手法(=燃焼記録プロキシー)を開発する。さらに、開発した手法をアラスカツンドラ域の環境試料に適用し、過去0.5-1万年の火災履歴の復元を目指す。
|
研究実績の概要 |
1. 試料確保に向けた取り組み:アラスカ大学フェアバンクス校国際北極センターに赴き,現地研究者の協力の下,フェアバンクス周辺並びにツンドラ域で採取された湖沼堆積物の回収とサンプリング(試料の層序毎に分析計画に基づいた試料分割と保存を行うこと)を実施,試料を日本へ輸入することができた.輸入した堆積物試料について,バイオマーカー分析,ブラックカーボン(BC)分析など前処理実験の準備作業を開始した. 2. BC-14Cに関する実験: BCの抽出・精製方法の検討では,加速器質量分析計(AMS)による極微量14C同位体比測定のための実験環境の整備を行った.特にAMSによる極微量14C計測のための条件を詳細に検討することによりAMS測定時試料量が1 μgCのレベルで精度を確保することを可能とした.この成果は,国際誌(Uchida, et al., 2023, NIMB:成果1)に公表された。また、極微量AMS-14C計測を用いた同位体マスバランス解析を大気エアロゾル中BCの輸送に関するモデルシミュレーションに適用した論文が出版された(Uchida, Kumata et al., 2023 NIMB:成果2). 3. バイオマーカー分析に関する取り組み:燃焼履歴復元のバックグラウンドデータとして、生物活動の履歴復元のためのバイオマーカーの測定に取り組んでいる.遊離型のエルゴステロールとリン脂質脂肪酸の測定に取り組み,分析条件を確立することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限のため、アラスカ現地で採取した凍土コアサンプル(アーカイブ試料)の輸入が2020年度に引き続き2021年にも実現しなかったが,海外からの土壌サンプル輸入のための植物防疫の手続きを完了し,輸入許可を得た.また、14CBC測定については、代替試料(酸処理済み凍土試料)を用いて、BC抽出条件や極微量AMS-14C測定のための条件検討を一部進めることはできた。 燃焼記録マーカー、バイオマーカーについては、酸処理済みの試料を使用することはできないため、国内採取土壌を使った検討に着手、一部の項目では検討を終えることができた。また、2022年度のアーカイブ試料入手、2023年度の現地サンプリングに向けた調整を開始した。これらの状況を総合して、「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
アラスカから輸入した湖沼堆積物試料について、BCその他の炭素成分の深度プロファイルの測定を進めるとともに,燃焼生成分子マーカーの多環芳香族炭化水素(PAHs)についても、分析も進める。PAHs以外のバイオマス燃焼分子マーカーであるレボグルコサンの抽出精製法を検討に着手し、プロファイルデータの一部取得を目指す.14C測定に関しては,14C測定のための抽出前処理ラインの製作と検討実験、並びにバイオマーカー、BCの超微量放射性炭素測定のためのブランク実験を進める.また,14Cブランク値におけるデータ補正方法の検討に関連して、ベイジアン推定とマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を応用した14Cブランク補正方法について検討を行うとともに、R, Stan言語およびMATLABによるコードによる解析環境の整備も進めていく予定である.
|