研究課題/領域番号 |
20H04313
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
真壁 竜介 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (40469599)
|
研究分担者 |
黒沢 則夫 創価大学, 理工学部, 教授 (30234602)
高尾 信太郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (80767955)
松田 亮 創価大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC) (70983055)
佐野 雅美 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00814732)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
|
キーワード | 南大洋 / 季節海氷域 / 糞粒様渦鞭毛虫 / Gyrodinium / 漂流系 / 漂流系観測 / 時系列採水 / 渦鞭毛虫 / 生物ポンプ / 南極海 |
研究開始時の研究の概要 |
南極海における海氷融解期の海氷縁辺域は大規模な植物プランクトンブルームが生じることから、食物網や物質循環の視点からその重要性が指摘されているが、設営的な困難さから研究の空白域となっている。この領域に挑戦した漂流系観測において、申請者らは糞粒様沈降粒子の平均約3割が渦鞭毛虫であることを見出した。これまで単に沈降する糞粒と見なされてきたものが摂餌と遊泳力や走性、生理活性を有する生物である場合、その動態によっては季節海氷域における炭素循環像がミスリードされてきたことになる。本申請課題では季節海氷域における糞粒様渦鞭毛虫の生態と生態系内における役割解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
本課題は我々が基盤研究C(17K07579)において沈降粒子中に見出した糞粒様渦鞭毛虫の生態学的役割の把握を目的とした。漂流系観測から糞粒様形態を取る渦鞭毛虫はGyrodinium rubrum, G. heterogrammumであり、2種は鉛直的に棲み分けていることが示された。また、採集された糞粒様渦鞭毛虫の沈降速度はナンキョクオキアミの糞粒に匹敵すること、沈降粒子中には彼らが排出したと見られる糞粒が多数見られることが示唆された。以上の結果は同属が炭素隔離に正の貢献をするという点でこれまでの認識と異なっており、南大洋における新たな炭素循環のキープロセスを提唱するに至った。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
南大洋は人為起源二酸化炭素の重要な吸収域と考えられている。一方でアクセスの困難なことによる南大洋炭素循環の理解不足は全球的な気候変動の予測において生じている誤差の要因となっている。本研究の成果は炭素の表層滞留を促進し、海洋による二酸化炭素吸収を抑制する微生物食物網の構成者として知られる原生動物が、炭素を下層隔離に寄与する点で新規性が高い。Gyrodinium 属が摂餌により大きくなる現象は様々な海域で確認されており、同属の生態学的な役割を理解するために、それらの分布や生物量だけでなく、生活様式や伸長する膜機構の解明についても重要な生態学的課題として取り組むべきである。
|