研究課題/領域番号 |
20H04314
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
米村 正一郎 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (20354128)
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研究分担者 |
小野 圭介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20549555)
内田 昌男 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主幹研究員 (50344289)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 凍土 / 極域 / ガス交換 / 二酸化炭素 / 有機物 / メタン / 土壌有機炭素 / 温室効果ガス / 14C同位体 / システム改良 |
研究開始時の研究の概要 |
負低温下での凍土のガス交換量を、様々な条件(好気環境、嫌気環境等)で測定できるシステムをさらに発展させ、CO2およびCH4等のガス交換量とその温度特性および凍土の分解特性の詳細な実態把握と、関わる微生物が分解する有機物を脂質レベルで解明する。本研究では、全球モデルで使用される凍土分解モデルのパラメータを初めて実験的に実測することが可能であることから、既存モデル検証、開発など気候変動予測精度のいっそうの向上に資する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍がまだまだ続いているため,凍土を取得することが出来ない状況が続いていたが、年度後半に、アラスカ大学フェアバンクス校国際北極センターの協力を得て、アラスカ産の凍土試料を入手することができた。凍土の実試料を用いた動態、元素分析等の実験を開始した。引き続き、来年度、追加の試料を確保するため、現地研究者との調整並びに調査準備を行った。 1)永久凍土サンプルの前に,活動層サンプルをガス交換量測定システムを用いてCO2交換量を調べるテスト実験を行った。用いられた土壌はノルウェーシュピッツベルゲン島ニーオルスンサイトで得られた活動層の土壌サンプルである。土壌サンプルとしては,土壌のみのサンプル,植物を含むサンプルである。そして,これらのサンプルの凍結後(-2℃)の融解時(0℃まで)および加水時のCO2放出動態を調べた。これらのサンプルに水を加えた際のサンプルでは,一過性の放出量増加が見られた。しかしながら,融解の効果の方が大きかった。温度が0℃で融解した場合には半日程度でCO2放出量がおおよそ一定の量になった。また,これらを総合すると凍土地帯での春先の融解時期にCO2放出が加速されることが予測された。また,難分解性SOMの1つである腐植酸(HA)の抽出手法を確立した。そして,培養実験を行い,北極土壌であっても難分解性有機物を分解するポテンシャルを持っていると考えられる。 2)土培養試料の有機炭素成分(脂質等)の14C、13C、TOC分析のため、加速器質量分析計(AMS)による微量放射性炭素同位体計測前処理に関連した実験の検討を行った。特に、微生物脂質(脂肪酸など)を抽出・精製方法の検討、AMSによる14C同位体比測定のための実験環境の整備を行った。特に、極微量AMS-14C測定のための条件検討を一部進めることはできた。その成果の一部は、本年度、国際誌に公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限のため、調査の延期等による凍土コアサンプル(アーカイブ試料)の輸入が2022年にも実現しないままであった。 また,代表者は本科研が採択時に大学に移動したが,旧研究所からの機材移動が禁止されていたなど,コロナでの初期の研究時期に大きなダメージを経験した。そのため最近になってようやく基盤整備が終わりつつあるといってよい。漸く本研究で利用する汎用的ガス交換量測定システム(土壌ガス交換量自動測定システム)も旧所属研究所時代に比べて,大学に移設後は改良され,不安定なガス成分でも評価が可能になったり,温度制御等格段に改良を行ったりと凍土サンプルのガス交換量を測定するに改良が行われた。しかしながら,整備がまだ行われていないのが,メタンを分析するためのガスクトマトグラフ等であり,この整備が終われば,凍土サンプルのガス交換量測定にうつることが出来る。 14C測定については、加速器質量分析計による極微量AMS-14C測定のための条件検討を一部進めることはできた。2023年度の後半に凍土試料の輸入を行うことができ、本格的な分析に着手することが可能となったが、当初の計画からは、かなり遅延している。これらの状況を総合して、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は最終年度にあたるため,凍土サンプルのガス交換量の測定を行っていく。また,凍土のガス交換動態では有機物の質が重要であることがわかったため,これも合わせて分析を行い,添加実験等を行ってくことも考えられる。
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