研究課題/領域番号 |
20H04322
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲弘 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (60456902)
|
研究分担者 |
柴田 誠 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40799607)
沢田 こずえ 京都大学, 地球環境学堂, 研究員 (60795285)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | 土壌有機物 / 土壌粘土鉱物 / 土壌微生物 / 活性Al・Fe / 同位体トレーサー法 / 炭素蓄積 / 粘土鉱物 / 表面科学 / 微生物群集 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌は陸域最大の炭素プールであり、土壌への有機炭素の蓄積およびその分解に伴う二酸化炭素の放出は、大気中の二酸化炭素濃度に大きく影響する。そのため土壌中の有機炭素動態の正確な予測が求められている。本研究では、表面科学に基づく土壌有機炭素-粘土鉱物界面の解析によって有機炭素の蓄積メカニズムを解明し、また最先端の微生物群集組成および活性の解析によって有機炭素の分解メカニズムを明らかにする。さらにそれらが、実測された二酸化炭素放出量や植物残渣由来の炭素蓄積量を説明できるかを検証し、土壌有機炭素の分解・蓄積に強く影響するメカニズムを特定する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、土壌有機炭素-粘土鉱物界面の解析によって有機炭素の蓄積メカニズムを解明し、また微生物群集組成および活性の解析によって有機炭素の分解メカニズムを明らかにする。さらにそれらが、実測された土壌有機炭素の分解・蓄積を説明できるかを検証し、土壌有機炭素動態の予測に重要なメカニズムを特定する。本年度は、風化程度が大きく異なるインドネシア、タイ、カメルーン、タンザニア、日本の212地点の非火山灰性の土壌(表層と下層)について、炭素蓄積に寄与する土壌の地化学的要因を調べた。土壌炭素蓄積に対する粘土・シルト、活性アルミニウム・鉄、鉄酸化物の影響を比較したところ、土壌の深度、風化程度にかかわらず、活性アルミニウム・鉄含量がもっとも重要であった。下層土壌においては、土壌が酸性である場合、気候帯、風化程度、土壌タイプによらず、1モルの活性アルミニウム・鉄に対して4~5モルの炭素が結合していた。表層土壌においても炭素含量は活性アルミニウム・鉄含量と相関したが、下層土壌よりも相関は弱く、また活性アルミニウム・鉄に対する炭素の割合が下層よりも高かったことから、活性アルミニウム・鉄を核として有機物が複層構造を形成し蓄積していると考えられた。また、pHが比較的高い土壌(pH > 6)については、活性アルミニウム・鉄とともに交換性カルシウム・マグネシウムの寄与が大きく、カルシウム・マグネシウムによる架橋構造も重要であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温帯から熱帯、半乾燥帯から湿潤帯の幅広い土壌群を用いて、有機炭素の蓄積に重要な土壌の地化学的特性を明らかにすることができた。また、有機態炭素を吸着する土壌粘土鉱物の分布について、インドネシア火山帯およびカメルーン火山帯における規定因子の解析を進めた。13-C標識植物体を施用した後に土壌の培養を行い、熱帯強風化土壌における土壌有機炭素蓄積因子の解析を進めた。いずれについても良好な成果が得られており、国内および国際学会での発表、学術雑誌への投稿の準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
土壌中の有機炭素の蓄積メカニズム、分解メカニズムについての解析を進める。まず、有機炭素の分解特性が異なる多様な土壌に対して有機物の熱分解分析を行い、蓄積している有機物の化学性を明らかにする。また、微生物群集構造を解析するとともに、その土壌有機炭素の量・化学性、気候および土壌特性値との関係を明らかにすることで、微生物による有機炭素分解についての解析を進める。また、土壌有機炭素分解の温度依存性を測定し、有機炭素蓄積・分解メカニズムの影響を検討する。
|