研究課題/領域番号 |
20H04335
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
益谷 央豪 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40241252)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | DNA損傷 / DNA損傷トレランス / 損傷乗り越えDNA複製 / RFWD3 / PCNA / ユビキチン / ユビキチン化 / DNAポリメラーゼ・イータ / 損傷乗り越えDNA合成 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞は、ゲノム上に未修復のDNA損傷を残したまま、DNA複製を継続・完了する、DNA損傷トレランスと総称される機構を備えている。ヒト細胞における主要な経路は、DNAポリメラーゼ・イータによる損傷乗り越えDNA合成(TLS: translesion synthesis)であり、その制御機構の解析を行う。DNA損傷トレランスは、DNA複製因子PCNAのモノ‐及びポリ‐ユビキチン化によって制御されるが、さらに、PCNAホモ3量体中の複数の分子が同時に修飾を受けるマルチ‐ユビキチン化により活性化される新経路を見出している。本計画では、この新経路に関わる分子を同定しその機能を解析する。
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研究成果の概要 |
紫外線損傷に対してはDNAポリメラーゼ・イータによる損傷乗り越えDNA合成(TLS)が重要な役割を担うが、イルジンSによるDNA損傷に対しては、PCNAのユビキチン化に依存するが、DNAポリメラーゼ・イータによるTLSとは異なる経路が重要であることを見出した。イルジンS抵抗性に関わるTLS因子として、DNAポリメラーゼ・カッパを同定した。さらに、RFWD3がイルジンS抵抗性に重要なことを示した。DNA損傷の種類に応じた適切なDNAポリメラーゼによるTLSと、RFWD3が担う未同定の経路が、PCNAユビキチン化に依存した主要な2つのDNA損傷トレランス機構であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
DNA 損傷トレランスはゲノム安定性の維持に重要なメカニズムである。一方で、DNA損傷による DNA 複製阻害を引き起こすことで細胞死を誘導する、シスプラチンのような抗がん剤に対しては、耐性に寄与するという側面があり、がん細胞の増殖に寄与する。従って、RFWD3 の DNA 損傷トレランスにおける詳細な機能を解析するとともに損傷乗り越えDNA合成との連携機構などを解明することにより、ゲノム安定性を維持するしくみだけなく、がん細胞の抗がん剤耐性のメカニズムの解明及びその克服法や、新たな抗がん戦略の構築につながることが期待される。
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