研究課題/領域番号 |
20H04336
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井倉 毅 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (70335686)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | NAD / H2AX / acetylation / DNA damage / de novo pathway / salvage pathway / 線量率効果 / TIP60ヒストンアセチル化酵素 / NAD代謝 / ヒストンアセチル化 / ヒストンH2AX / クロマチン / 線量率 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線障害に対する生体応答の多様性が生まれる仕組みを分子レベルで解明することは、放射線治療、低線量の放射線障害の個人差の問題を打開する上でも極めて重要である。我々は、放射線障害ストレスによる細胞核内のアセチル化を介したクロマチンの動的制御が、NAD代謝経路と連動し、ミトコンドリアでのATP産生に影響を及ぼすことを見出した。本課題では、細胞核と細胞質に複数存在するNAD代謝経路に着目し、異なる線量率ごとのNADエネルギー代謝経路の存在を明らかにする。これらの結果をもとに、異なる線量率での放射線障害に対する生体の多様性が生まれる仕組みを代謝変動から理解し、その分子基盤の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
我々は、デノボNAD合成酵素、NAD syn1が、クロマチンからTIP60によるH2AXのアセチル化依存的にDNA損傷部位に集積することをクロマチン免疫沈降法によってすでに明らかにしている。今回、ゲノム損傷ストレス応答における細胞核内でのこの酵素の役割について検討した。結果、このNAD syn1が、DNA損傷部位に集積することによりNAD産生の場が、細胞質でのサルベージ経路依存から細胞核内でのデノボ経路依存に変わることが示され、この細胞核内でのNADの産生が、ゲノム損傷ストレスによって誘発される細胞老化の異常加速とがん化の抑制に必要であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ニコチンアミドジヌクレオチド(NAD)は、老化やがん化において最も変動する代謝物の一つである。加齢に伴いNADが、低下することはよく知られており、NADのサプリメントは、健康食品としてもすでに販売されている。細胞は、いかなるストレスに対してもNADの低下を防ぐ戦略を持ち得ている。今回は、TIP60によるH2AXのアセチル化を介して細胞核内でNAD産生を行うことが、ゲノムストレスによるNADの産生が低下と細胞老化の異常加速を防いでいることを示した。今後はNADの低下を防ぐためにH2AXのアセチル化を亢進させる薬剤の開発が望まれる。
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