研究課題
基盤研究(B)
本研究では、自然界で起こる結氷現象を室内でのチャンバー実験で再現し、有機臭素ガス、特にブロモホルムに関して、海氷表面での化学反応機構・大気への放出過程を明らかにすることを目的とする。本課題は、極域大気中オゾン濃度の急激な減少を招く有機臭素ガスの発生源が特定されていないことから設定した。本研究で提唱する海氷表面でのブロモホルム生成は、有機臭素ガスの大気への新たな発生源の提案となり、長年謎とされてきた大気中オゾン消失現象の原因解明に一石を投じることとなる。しかし、これまでの応募者らによる観測事実と低温環境での化学反応の新たな知見により、反応仮説を提唱するに至ったが、反応機構は検証されていない。
本研究では、海氷表面に見られる有機臭素ガスの高濃度現象を室内チャンバー実験により明らかにすることを目的とした。-25度の低温環境下においてチャンバーに入れた海水500mLを凍結させ、海氷表面部分にオゾンを供給した。すると、ブロモホルムの発生が確認された。また、海氷表面に供給するオゾンの濃度の増加に伴い、発生するブロモホルムの量は増加した。オゾンが海氷表面の臭素イオンを酸化することで、発生した次亜臭素酸が有機物と反応し、ブロモホルムが生成したと考えられる。本研究より、海氷表面でのブロモホルム生成に関する化学反応機構・大気への放出過程に関する直接的なデータを実験的に得ることができた。
本研究では、海氷表面で濃縮した有機物との「非生物」反応によって、ブロモホルム生成反応が進むという仮説を、室内での低温化学反応チャンバー実験で検証に至った。これまで、海洋および海氷分野でのブロモホルム生成に関しては、植物プランクトンの生理現象の副産物として「生物的」にブロモホルムが生成することが定説とされていた。本研究で提唱する海氷表面での「非生物的」なブロモホルム生成は、有機臭素ガスの大気への新たな発生源の提案となり、長年謎とされてきた大気中オゾン消失現象の原因解明に一石を投じることとなる。
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