研究課題/領域番号 |
20H04348
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松井 一彰 近畿大学, 理工学部, 教授 (40435532)
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研究分担者 |
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
川津 一隆 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20747547)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 下水生態系 / 微生物群集 / 薬剤耐性遺伝子 / time series / 薬剤耐性細菌 / 下水の微生物動態 / 都市水域生態 / 将来予測 / 微生物群集動態 / 動態予測 / 下水微生物生態 |
研究開始時の研究の概要 |
都市の地下に広がる下水管路は人間社会に最も近い水環境であり、日本には総延長で約42万キロメートルの下水道管が張り巡らされている。人の排泄物に含まれる細菌や薬剤が流れ込む下水管内では、薬剤耐性細菌が選択的に生き残ると言われている。しかし、薬剤耐性細菌が下水管内の細菌群集にどの程度含まれ、時間の経過とともにどのような変化をするかについては明らかになっていない。また湖沼や河川の生態系では細菌群集への影響が大きい真核微生物群集との関係性については、全く解明されていない。 本研究では、下水の微生物群集動態を水域生態学的観点から解明し、薬剤耐性細菌を蔓延させないための公衆衛生管理に活用することを目指す。
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研究成果の概要 |
下水中における微生物群集と薬剤耐性遺伝子量の動態を遺伝子レベルで定量・把握し、データによるOne Healthアプローチ概念の実装化を試みた。通年で10℃以上の水温変動が生じる下水環境下では、細菌群集構造に季節的な周期がみられることが示された。下水中から検出された薬剤耐性遺伝子量は通年を通してほぼ一定であり、薬剤耐性能が特定の細菌群集に偏在している可能性は低いと考えられた。また可動遺伝因子との相関から、薬剤耐性遺伝子の全てが水平伝播しているわけではないと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
河川や湖沼と同様に、下水中においても微生物群集が季節変化していることを実証した。日本と米国の微生物叢の比較では、相対的な微生物量の80%以上が共通した微生物種で占められていることがわかった。また下水における薬剤耐性遺伝子量の通年変化を、初めてデーターとして示した。さらに薬剤耐性遺伝子の拡散パターンが、可動遺伝因子を介した拡散経路以外にも、もう一つ別に存在する可能性を示した。遺伝子の水平伝播環境中での薬剤耐性細菌の動態がほとんど明らかにされていない中、ヒトの生活圏での薬剤耐性遺伝子動態を示す事で、One Healthアプローチをより中味の伴った行動指針にできると期待できる。
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