研究課題/領域番号 |
20H04351
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2021-2023) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 (2020) |
研究代表者 |
振津 かつみ 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10418965)
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研究分担者 |
野村 大成 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, 客員研究員 (90089871)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | マーシャル諸島 / 核実験 / 放射線 / 次世代影響 / 遺伝 / フォールアウト / 被曝 |
研究開始時の研究の概要 |
マーシャル諸島における核実験フォールアウト被曝住民の家族(トリオ)の血液試料からDNAを抽出し、最新の分子遺伝学的手法を用いて放射線の次世代影響を調査する。血液試料の一部を用いてリンパ球染色体変異に基づく生物学的線量推定を行う。生活歴・病歴等を問診・健診を通じて収集する。公表されている放射能汚染・空間線量率等の資料を活用して物理学的線量を推定する。DNA解析から得られる次世代影響のデータと推定被曝線量を定量的に解析し、ヒト被曝集団の直接的データに基づく放射線の次世代影響リスク評価を行い、新たな放射線防護基準を作成する。本調査はマーシャル諸島共和国政府の要請と後方支援を得て遂行する。
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研究実績の概要 |
2023年8月12日~23日、振津がマーシャル諸島(RMI)を訪問し、同国政府核委員会(RMI-NNC)、保健省、調査対象地域の代表、等と調査の進め方を協議した。チェルノブイリなど2020年以降の他地域での先行調査の結果を踏まえ、社会・倫理的側面も含めて協議した結果、当初計画の血液サンプルを用いたDNAレベルの家族調査は行わないことになった。そして、核実験被曝者の一世及び次世代を含む、医学(問診・診察)・疫学(保健省データの解析)調査に、社会学的調査(研究協力者・竹峰誠一郎[明星大学教授]協力)を合わせ、NNC、保健省、及び関係医療機関等と協働のプロジェクトを次回訪問時から行うことになった。この調査プロジェクトはRMI側のニーズにも沿ったものであり、地域医療にも還元でき、これまで同様の先行調査はない。 2023年11月23日~12月2日、振津が、核兵器禁止条約第二回締約国会議及び関連サイドイベントに参加し情報収集を行った。また、医療社会学者Alcalay氏と会談し、1980年代にマーシャル諸島で同氏が行なった流死産、先天異常調査の調査票及び聞き取りデータの提供を受けた。 2024年2月24日~3月15日、振津が研究協力者・竹峰氏とマーシャル諸島訪問。マジュロ在住のロンゲラップ環礁出身の核実験体験者3名を調査、また、アイルック出身の希望者に甲状腺超音波検査(9名)を行なった。そして、フォールアウト被災地アイルック環礁で、全戸訪問(約40戸、200名余)による人口把握、離島で多い結核の問診(保健省判断基準)と要医療疾病の確認、核実験体験者の聞き取りを行なった。また、希望者に対して甲状腺超音波検査(41名)を行ない、アイルック島民・出身者で、要精査9名(径1cm以上の腫瘤)を認めた。これらの情報を保健省と共有し、現地の医師らが引き続き精査・医療を行う体制を協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、2020年8月に振津がマーシャル諸島を訪問し、予備調査、核実験フォールアウト被曝者の家族(トリオ)のリストアップ、ボランティア採血試料で実験手順確認、等を行う予定であった。しかし、COVID-19パンデミックのため、2020年2月以降、マーシャル共和国政府が日本からの渡航停止を行ったため、RMIでの現地調査を進めることがきない状態が続いた。マーシャル共和国の国境開放に伴う保健省の新入国運用規則が2022 年10月6日発表され、関係者と協議の結果、改めて準備期間が必要なため現地調査は2023年度から開始することになった。 そして2023年度に入って、オンライン会議の打ち合わせを行った上で8月に現地訪問し、マーシャル政府核委員会等マーシャル政府の担当者と対面で今後の調査の進め方を協議した。、マーシャル側の社会・倫理的要請、この間の他の放射能被災地でのDNAレベルでの先行調査の結果、等をふまえ、率直に協議した結果、調査計画を変更し、血液サンプルの採取は行わず、医学調査に社会学的調査を加え、次世代影響を含む核実験フォールアウトの影響を総合的に評価する、マーシャル政府核委員会及び保健省と、我々日本の研究者の協働プロジェクトとして本調査を進めることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には少なくとも2回のマーシャル諸島現地調査を行い、現地政府核委員会、保健省、被災地域自治体、等と協力し、調査範囲を広げ、甲状腺疾患等の疾病の背景、フォールアウトによる核実験体験者の一世及び次世代以降への影響を検討する。また、甲状腺以外の疾病(頻度の高い糖尿病、高血圧など)も含めた核実験放射性フォールアウト被災地域住民の健康状態把握とその背景についても情報収集する予定である。
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