研究課題/領域番号 |
20H04363
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片山 新太 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60185808)
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研究分担者 |
笠井 拓哉 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (00833831)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 固体腐植ヒューミン / 細胞外電子伝達 / 二酸化炭素固定 / 酢酸生成微生物 / 硫黄 / 水素 / 腐植物質 / 非光合成型二酸化炭素固定 / メタン生成微生物 / 細胞外電子供与 |
研究開始時の研究の概要 |
光は使わないが、酸素の無い条件で水素を使って二酸化炭素から酢酸を生成する微生物は、高密度化が可能なことから、温暖化ガスの二酸化炭素を固定する技術として有望とされている。しかし、水素供給が不可欠である点が省エネルギー上の課題となってきた。本申請者らは、腐植物質の中で酸アルカリに不溶な固体腐植ヒューミンを電子伝達物質とすることによって、高効率に酢酸微生物に二酸化炭素固定させる可能性を見いだした。そこで、本研究では、この電子伝達メカニズムを解明することを目的とする。地球化学と微生物生態学の融合分野を切り拓く基礎研究であるとともに、新規な地球温暖化対策技術の端緒として大きな貢献が期待される。
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研究成果の概要 |
酢酸生成微生物により二酸化炭素を酢酸に変換する技術は有望と考えられているが、高濃度水素が必要である点が課題となっている。本研究者らは固体腐植ヒューミンを細胞外電子供与体として二酸化炭素が酢酸に変換される新規な微生物反応を見いだした。そこでその反応を担う酢酸生成微生物とその条件を解明するとともに、その電子伝達機構の解析を行った。酢酸生成微生物の中でMoorella thermoaceticaが酵母エキス存在下で固体腐植ヒューミンの細胞外電子を利用して二酸化炭素固定・酢酸生成ができることが明らかとなった。また、固体腐植ヒューミン中の還元型硫黄が高密度に電子を保持できる官能基であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地球温暖化が進む現在、二酸化炭素固定化技術の開発は人類にとっての最大の緊急課題である。本研究は、その中で有望視される酢酸生成微生物を用いた技術の弱点である高濃度水素の必要である点を回避して、二酸化炭素固定を行う技術の開発につながることが期待される。本研究を通して、水の電気分解は起こらない(水素供給の無い)温和な条件で、酵母エキス存在下、世界最高レベルの24.2mg-酢酸/L/日が達成され、今後の技術開発につながる成果が得られた。また、この細胞外電子伝達の現象は自然界における嫌気性微生物生態系のエネルギーの流れを明らかにするものとしても意義深いものである。
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