研究課題/領域番号 |
20H04377
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
瀧 健太郎 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60805620)
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研究分担者 |
山田 由美 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 客員研究員(研究員) (00365496)
原田 守啓 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00647042)
堀 智晴 京都大学, 防災研究所, 教授 (20190225)
吉田 丈人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40447321)
永山 滋也 岐阜大学, 高等研究院, 特任助教 (70540558)
田中 耕司 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50817385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | Eco-DRR / 霞堤 / 氾濫水理計算 / 適地推定 / 機能評価 / 水田貯留施設 / 減災効果 / EcoDRR / 魚類分布 / 最適配置 / 統合水理モデル / 流域治水 / 遊水地 / 数値解析 / 河川との連続性 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の伝統的治水技術である霞堤と付帯する遊水地は,洪水時の減災機能と平常時の農業生産や生態系保全機能が相互補完する“Eco-DRR”(生態系を活用した防災・減災, Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)施設であり,気候変動・人口減少が進む中にあって、洪水災害・生態系劣化の克服に寄与すると期待される. そこで本研究では,霞堤が現存する国内5河川を比較しながら、霞堤遊水地が有する、生態系保全(Eco)効果・減災(DRR)効果をさまざまな角度から定量的に評価し、減災(DRR)効果・両効果を最大化するための具体的な計画方法を検討する.
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研究実績の概要 |
姉川、安曇川、北川、長良川、由良川、球磨川に加え、石狩川流域の統合水理モデルの開発・改良を進めた。 球磨川流域では、田んぼダムの最適配置の解明を試みた。中流部(球磨盆地)の左岸流域・氾濫域を対象に農地を広域的に水田貯留施設とした場合の治水効果を定量化し,氾濫平野エリアと支川扇状地エリアとに分け,水田貯留施設の配置による効果の違いをみた.結果,広域的な水田貯留施設化に伴い,支川群のピーク時間は遅くなる一方で,ピーク前の水位上昇がみられた.支川扇状地エリアの水田貯留施設は本支川合流付近の浸水軽減に寄与するが,氾濫平野エリアの水田貯留施設は周辺の浸水深を増加させ,支川ピークを僅かに上昇させる傾向を確認した. 石狩川においては、旧川湖沼と本川を再接続するとともに氾濫が拡大しないよう控堤(二線堤)を設置することで霞堤化させ、その減災効果を検証した。また、あわせて旧川湖沼と本川の再接続に伴うタンチョウの営巣ポテンシャルの変化を見た。氾濫特性を説明変数とした機械学習モデルを構築し算出している。2018年7月洪水を対象に解析したところ下流市街地での氾濫が押さえられ、旧川湖沼周辺のタンチョウの営巣ポテンシャルも上昇することも分かった。 姉川・高時川では、2022年8月洪水の再現計算により、実際に機能した2つの霞堤について減災効果を検証した。2つの霞堤で異なる効果が確認され、上流側霞堤は氾濫流・内水排除効果が卓越し河川水位を僅かに上昇させたが、下流側霞堤は外水貯留効果が卓越し河川水位を僅かに低下させた。このことは、霞堤が配置や個別の事象により発揮する機能が異なり、負担と受益の関係が一概に定まらないといった政策的な課題が浮き彫りとなった。また、出水直後に魚類分布調査を実施したところ、両霞堤遊水地内の水路でアユ・オイカワ・カワムツなどが確認され、本川洪水時の一時的な避難場所になっていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に懸案であった出水後の魚類調査を実施することができ、河川及び周辺氾濫域の生物相に対する霞堤遊水地の(平常時だけではなく出水の)役割を検証するための基礎データが得られた。氾濫特性を表現するための水理モデルも各流域で整備することができ、EcoDRR施設の最適配置の検討に着手する準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
年度前半には、着手以降3年間で得られたデータ・解析モデル(統合水理モデル、魚類等生息適地推定モデル)を活用し、これまでに開発した方法論を複数流域に適用し、各流域のEcoDRR施設群の減災機能・生態的機能を解析・比較検証する。そのうえで、年度後半には霞堤遊水地群の最適な(減災効果・生態系保全効果を最大限発揮する)形状・配置を探索するAI的手法を確立・提案する。
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