研究課題/領域番号 |
20H04385
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
木村 浩之 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (30377717)
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研究分担者 |
本田 孝祐 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (90403162)
佐藤 悠 山口大学, 大学研究推進機構, 助教(テニュアトラック) (90852187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 地下圏微生物 / バイオリアクター / 温泉 / 水素製造 / 分散型エネルギー / 災害対策 / メタン / 水素 / メタン生成 / 水素ガス生成 / 分散型エネルギー生産 / 未利用エネルギー / 微生物 / 水素生成 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は西南日本の太平洋側の地域に分布する付加体を研究し、その深部帯水層に嫌気性地下水とメタンが蓄えられていること、地下水に高い活性を持つ水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌が含まれること、その深部帯水層では水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌が共生し、有機化合物を分解して、メタンを生成していることを明らかにしてきた。本研究では、付加体の深部帯水層に由来するメタン、嫌気性の地下温水、微生物群集を用いた分散型エネルギー生成システムを創成する。特に、地下温水に含まれる水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌を活用したメタン生成リアクターおよび水素ガス生成リアクターを構築する。
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研究実績の概要 |
付加体は、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に海底堆積物が大陸プレートの側面に付加してできた厚い堆積層である。付加体の堆積層の多くは泥岩と砂岩の互層構造からなる。泥岩層には多くの有機物が含まれている。一方、砂岩層には地下水が多く蓄えられており、それらの砂岩層は帯水層となる。付加体の深部地下圏の帯水層には、地熱によって温められた嫌気性の地下水(非火山性温泉)とメタンが蓄えられている。これまでの研究において、西南日本の付加体が分布する地域に構築された温泉用掘削井を介して深部帯水層に由来する非火山性温泉とメタンを採取した。そして、付加体の深部帯水層におけるメタン生成メカニズムを明らかにしてきた。本研究課題では、これらの深部帯水層に由来するメタン、地下水、微生物群集を活用した分散型エネルギー生成システムを創成する。特に、地下水に含まれる水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌を用いたメタン生成リアクターおよび水素ガス生成リアクターを構築する。そして、温室効果ガス排出削減、エネルギーの地産地消、分散型エネルギー生産、災害時ライフライン供給システムの開発に貢献する。 令和4年度は、静岡県内の大深度掘削井から非火山性温泉を採取し、1トン型バイオリアクターに添加した。その後、食品廃棄物の有機基質を加え、最適化した温度にてリアクターをインキュベートすることにより水素ガスを生成するバイオリアクターを構築した。同時にバイオガス生成量の測定及びガス組成分析を実施した。その結果、これまでの水素ガス生成量を大幅に増加させることに成功した。また、バイオリアクター内にて増殖した微生物群集の細胞からRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を実施した。その結果、バイオリクター内にてメタン生成菌に由来するmRNAはほとんど検出されなかった。一方、水素発生型発酵細菌に由来するmRNAが数多く検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス及びインフルエンザ感染症拡大の影響により、静岡県内の温泉用掘削井の調査及び現場バイオリアクターの構築を自粛せざるを得なかった。そのことが影響し、現場での微生物培養実験及びRNA解析に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、メタン生成リアクターよりも約10℃高い温度でリアクターをインキュベートすることにより、地下水に含まれる水素資化性メタン生成菌の増殖を特異的に阻害し、水素発生型発酵細菌のみを増殖させる水素ガス生成リアクターの構築に成功した。さらに、有機基質の前処理や添加量、添加するタイミングを工夫することにより、水素ガスの生成速度を大幅に改善することに成功した。また、増殖した微生物群集のトランスクリプトーム解析のデータ収集にも成功した。そして、発酵により水素ガスを生成するバクテリア群集の代謝特性を解明することができた。 令和5年度は、付加体の深部帯水層に由来する非火山性温泉および微生物群集を用いた水素ガス生成バイオリアクターについて、培養結果、遺伝子解析、トランスクリプトーム解析の結果をまとめる。また、学術英語論文を書き上げ、国際雑誌に投稿する。さらに、静岡生命科学フォーラムが主催する静岡ライフサイエンスシンポジウムや日本微生物生態学会が主催する年次大会にて研究成果を積極的に発表する。
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