研究課題/領域番号 |
20H04387
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
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研究分担者 |
八木 絵香 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (30420425)
江守 正多 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 上級主席研究員 (80300846)
田村 哲樹 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30313985)
松浦 正浩 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (70456101)
池辺 靖 国立研究開発法人科学技術振興機構, 日本科学未来館, 科学コミュニケーション専門主任 (50791828)
工藤 充 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10775886)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 気候市民会議 / 市民参加 / 合意形成 / 科学技術社会論 / 熟議民主主義論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,欧州諸国などで導入が進んでいる気候変動対策に関する無作為抽出型の市民会議(気候市民会議=climate citizens' assembly)について,その実施状況や背景を把握するとともに,日本における応用・実装の可能性と随伴する諸課題を実証的・理論的に解明することである。諸外国における気候市民会議の最新動向を調査しつつ,国内で模擬的な気候市民会議を試行し,日本における応用・実装の方法論を開発する。これらを通じて,誰一人取り残さない公正な脱炭素化の実現に資する気候市民会議のデザインを提案する。
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研究実績の概要 |
本年度も、新型コロナウイルス感染症の影響により、申請時に予定していた欧州での先行事例調査などの活動を行えない状況が続いたことから、国内での活動を中心に研究を進めた。
前年度に、国内で初めて札幌市で実施した気候市民会議の結果の分析を進め、3回のオンライン研究会を行うとともに、学会やシンポジウムでも報告した。また、気候市民会議に関心のある自治体関係者、環境政策関係者や市民向けのセミナー・公開講座等で講演したり、マスメディアの取材に対応するなどして、札幌市での試行を通じて形成した実践例を各方面に発信した。国内では札幌市での試行の後、2021年に川崎市において民間主導で本格的な気候市民会議(「脱炭素かわさき市民会議」)が開催されるとともに、札幌や川崎の実践を踏まえて、2022年度に行政が公式に気候市民会議の開催を準備する動きが一部の自治体に出てきた(埼玉県所沢市、東京都武蔵野市など)。こうした国内の状況について、会議の傍聴や関係者へのヒアリングなどを通じて、情報収集や支援を行った。また、気候市民会議の開催が先行している欧州の動向についても、文献調査やオンラインセミナーへの参加等を通じて、引き続き把握に努めた。新型コロナウイルス感染症の影響によって延期を余儀なくされた活動については、一部、予算を2022年度に繰り越し、欧州への渡航が可能になってから実施した。
以上の成果をもとに、欧州における気候市民会議の動向や、その日本における活用の可能性について一般向けに解説する書籍の執筆を進めた(2022年度に『気候民主主義:次世代の政治の動かし方』岩波書店、として出版)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響によって、オンラインや国内での活動を主体とする方向で研究を進めざるをえなかったが、その中でも、前年度に試行した気候市民会議の結果の分析や、実践例としての発信を各方面で行うことができ、行政が公式に主催する動きにもつながった。また、予算の一部を繰り越すことで、欧州における調査を一部、2022年度に行うこともできた。以上のことから、全体としては当初の目的に沿った研究を行うことができていると考え、「おおむね順調に進展している」ものと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、次の方針で研究を進める。(1)初年度に実施した気候市民会議の試行結果について、さらに深掘りした分析を行い、研究成果の発信を進める、(2)欧州を始めとする諸外国での気候市民会議の開催や、会議結果の活用を含めた状況、国内の他地域で進んでいるローカル版の気候市民会議開催の動きについて、状況の把握と経験の交流を推進する、(3)日本社会における公正な脱炭素化に資する気候市民会議の活用のあり方について、これまでの研究を総括する形で提案する。
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