研究課題/領域番号 |
20H04391
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70272367)
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研究分担者 |
風間 しのぶ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20749444)
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50422382)
本田 秀仁 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (60452017)
中久保 豊彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70648766)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 簡易式オンサイトし尿処理設備 / 維持管理 / 住民主体 / 衛生水質指標 / ハイブリッド型研究 / オンサイトサニテーション / PMMoV / PPCPs / オンライン調査 / 情報提供 |
研究開始時の研究の概要 |
途上国~中進国で主たる排水処理方式である簡易式オンサイトし尿処理設備(OSTS)について,衛生水質指標(PMMoVやPPCPs)の導入や地理的条件を考慮しての動態解析といった科学的根拠に基づいた維持管理法の確立を目指す.さらに持続可能なものとするために使用者が主体的に管理できる体制を構築する方法論を確立する.この様に科学的側面と社会科学的側面のハイブリッド型の研究を通して,実効性の高いOSTS維持管理方法の将来像を描く.
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研究実績の概要 |
本研究は科学技術的側面と社会科学的側面の両面からのアプローチによりスリランカ国南部における最適なOSS(オンサイトサニテーションシステム)の運用を目指すものである.科学技術的側面としては,OSS周辺の環境水および周辺土壌からの糞便由来ウイルス指標であるPMMoVと微量化学物質PPCPsの測定を試みた結果,地下水などの環境水からの検出は問題なく行え,水域におけるOSSからの負荷について情報を得ることができた.それによりOSSと井戸との距離による衛生管理は不十分であることが示された.またOSSの維持管理を行うことで距離が短くても衛生管理が行えることが示唆された.一方,OSS周辺土壌の扱いにおいては前処理としての抽出効率が悪く,十分な検出結果が得られなかった.土壌における挙動を把握するためには,今後は抽出効率の改善を図る必要がある. PPCPsについては現地調査で行えなかった計画を実験室による標準土壌を用いての実験調査に切り替え,様々な条件下で各PPCPs成分の土壌への吸着や生分解性について調査した.その結果,分類わけを行い,OSSからの環境負荷において成分ごとの寄与についてまとめることができた. 社会科学的側面としては,OSSによる環境負荷に関する意識調査をオンラインを活用化した調査をおこなった.反構造化インタビュー調査およびアンケートを行いOSSの使用状況やそれに対する住民意識を把握することができた.情報提供については動画と静止画による比較を行い,継続性の面で動画の方が優れていることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ事由により渡航制限や現地の経済危機のため,現地試料の取得が順調に進まなかった.しかし現地の共同研究者による試料の採取,前処理,送付などの協力により,現地試料の分析を行うことができた.渡航ができるようになってからは対象試料を増やすことができ,その点,トラブルをカバーできたと考えられる.またインタビュー調査については,Zoomを用いたオンライン調査を最大限に活用し,統計的に有意な結論を導ける数のデータを確保することができた.この点も,トラブルをカバーでき,おおむね順調に研究を遂行できた要因として挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ事由および経済危機によるスリランカへの渡航制限が緩和され,今後は障壁なく渡航しての現地調査が行えると考えている.ただ渡航制限によって収集データの不足は否めないため,今後の渡航の際には計画以上のデータを集めるように計画を組む必要がある.また実験上の課題としては土壌からの目的物質の抽出効率の改善が必要であるが,この分野の精通者からの情報を得ることで,方法の改善を図っていきたいと考えている.
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