研究課題/領域番号 |
20H04435
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
Sharpley Richard 和歌山大学, 国際観光学研究センター, 客員教授 (60863082)
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研究分担者 |
加藤 久美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (30511365)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | Dark tourism / disaster / heritage / community / resilience / ダークツーリズム / 負の遺産 / 理解 / 和解 / 平和 / 観光商品 / 地域コミュニティ / 記憶の継承 / 倫理 / コミュニティ / 文化遺産 |
研究開始時の研究の概要 |
This study aims to explore the potential to achieve peace and understanding through dark tourism sites in Japan. Specifically, through an analysis of the representation/interpretation of dark or difficult pasts/events and, where appropriate, visitors’ experiences, it will identify the extent to which peace, respect and mutual understanding is or may be encouraged through tourism. In so doing, the study also explicitly seeks to contribute to a fundamental objective of Japan’s Tourism Nation Basic Promotion Plan, namely, the ‘enhancement of mutual international understanding’.
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研究実績の概要 |
今期調査では以下の事例に焦点を当てた。 隠れキリシタンの歴史: 1549年、キリスト教宣教師として初めて来日したフランシスコ・ザビエルの活動を基に、後続の宣教師たちは特に長崎地方で一定の成功を収めたが、1614年にキリスト教禁止以降250年間、多くの「隠れキリシタン」達は、その信仰を地下に潜らせ、密かに信仰を続けることを余儀なくされた。日本では1871年に信教の自由が導入され、1863年の開港後、長崎に日本で最初の正規のカトリック教会が建てられた。現在、長崎周辺には、ビジターセンター、二十六殉教者記念館・記念碑など、隠れキリシタンに関連する施設が数多くあり、12箇所がユネスコ世界遺産に登録されている。この事例では、隠れキリシタンの物語に焦点を当て、それが長崎の歴史に不可欠で重要な要素としてどのように表現され、解釈されているか、また、それが日本における(宗教)観光と宗教的寛容をどの程度促しているかということに焦点を当てることとした。 軍艦島(端島):長崎から約15km離れた場所にある小さな島は、19世紀初頭の石炭発見の後、1887年から1974年まで海底炭鉱の中心地となり、労働者とその家族の居住地が島内に作られた。炭鉱の閉鎖後、特徴的な建物は放置され、その後荒廃していった。しかし、島の歴史や遺跡への関心から、2009年以降、観光ツアーが組まれるようになり、2015年にはユネスコの世界(産業)遺産に登録された。軍艦島は現在、日本の急速な工業化の成功を物語る人気の観光スポットであるが、国際的な(韓国)強制労働の使用疑惑などはツアーでは知らされていないことは、産業遺産情報センター(総務省)でも十分に対処されていない、とされている。この事例では、軍艦島の歴史と観光地としての役割をたどり、特に、島における強制労働の困難な歴史をめぐる議論とその意味について考察することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本における困難な歴史や暗い歴史に関連する観光地や観光地のケーススタディで構成される。各事例において、実証的な調査(現地視察やインタビュー)、文献調査の両方に基づき、特定の出来事や歴史が観光客に提示され、解釈される方法に注目した。現代の論争や議論と関連させながら、各地域が観光を通じて相互理解や平和、和解にどの程度積極的に貢献しているか、あるいは一方でどの程度負の側面を維持しているかについて結論を導き出すことを目的としている。事例研究では当事者へのインタビューなどから知られざる歴史の側面も見出すことができた。書籍の企画書もRoutledgeから受理され、章の構成も多少調整しながら執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
事例研究では、ハンセン病、端島、特攻隊訓練場(知覧、鶉野)、広島・長崎などすでに調査を行なった地域の観光開発の現場について補足調査を行う。また福島の避難地域についても、規制解除が進んだ地域を訪れる。書籍の執筆を終え、最終校正を行うとともに、ビジュアル資料(映像、画像)なども掲載すべくウェブサイトの充実を図っていくこととする。
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