研究課題/領域番号 |
20H04464
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
久間 晋 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50600045)
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研究分担者 |
三浦 伸一 金沢大学, 数物科学系, 教授 (10282865)
中野 祐司 立教大学, 理学部, 准教授 (20586036)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | ヘリウム液滴 / 超流動水素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では水素超流動相を実現するために、温度0.4Kのヘリウム液滴からなる量子液滴ビーム中にナノ水素凝縮体を生成し、微視的スケールでその量子物性に迫る。これまで超流動実現の最大の障壁であった超流動転移温度(< 2 K)での固化、というバルクでは不可避な相転移を抑制するために、ナノサイズ過冷却水素を実現する。液体性および超流動性のナノスケールでの検出には、水素及び内包分子をプローブとするレーザー分光法を用いる。プローブ分子の回転運動に対する微視的応答から超流動性に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では、Ginzburgらにより予言された水素超流動相を実現するために、温度0.4Kのヘリウム液滴からなる量子液滴ビーム中にナノ水素凝縮体を生成し、微視的スケールでその量子物性に迫ることを目的とする。ナノ水素凝集体が示す液体性そして超流動性を、水素及び内包分子をプローブとするレーザー分光法を駆使し微視的なナノスケールから巨視スケールに近いミクロンサイズまでの幅広いサイズ領域で明らかにする。微視的スケールを超えて巨視的スケールでの超流動水素の実現可能性を見極めるための土台となる。 本年度はまず、1) 低温パルスノズルから直接噴出した水素ガスにより生成される巨大水素クラスターの性質を、クラスタービーム速度測定と内包分子のスペクトル測定により明らかにした。特に、生成したクラスターはヘリウム液滴温度0.4Kまでは冷却されていないまでも、バルク凝固点13.8Kより遥かに低い5K以下の温度にあることが推察された。さらにこのクラスターが液体の性質を持つことをスペクトル測定により明らかにした。この結果を液滴サイズ10^5の巨大水素クラスターにおいて見出したことは、巨視的スケールでの物性との関連を調べる上で意義が大きい。2) 高強度ヘリウム液滴パルスビームを生成するためのパルスノズル及び液滴生成チャンバーを整備した。3) 量子モンテカルロ法に基づく水素分子の超流動シミュレーションを実施するためのプログラムコードのアップデートを実施した。 これらの研究を、研究代表者を中心に2名の研究分担者と共に遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
巨大水素クラスターがバルク凝固点より十分低い温度で液体性を持つ可能性を明らかにした点は、大きな進展である。その他、高強度ビームの生成や理論的サポートの面でも順調な進展である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を発展させ、ヘリウム液滴温度での液体性及び超流動性の検証を進める。さらに実験装置の高精度を進めるとともに分子動力学シミュレーションによる液体性及び超流動性の解明を行う。
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