研究課題/領域番号 |
20H04477
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
長野 真紀 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 准教授 (10549679)
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研究分担者 |
今村 文彦 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 名誉教授 (50213244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 海上集落 / 空間の持続性 / 定住化 / 生活環境 / 文化資産 / 移民集落 / 華人 / 水上住居 / 土地利用 / 宗族 / 水辺 / 持続性 / 環境特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マレー半島の旧イギリス海峡植民地へ19世紀に移住してきた華人移民とその子孫を対象とし、移住先の地理・立地環境・気候風土・慣習などを背景に構築された新しい住まいの特性について解明する。そして、歴史的な人の移動によって生まれた居住環境の越境性と環境、民俗、生活文化の変容に適応した住まいの持続性について明らかにする。対象地は100年以上の歴史を有するが、その実態を把握した史料は乏しく、住まいの空間構成や生活環境は長い歴史の中で閉ざされてきた。現在まで生き続けている要因と、集落に集積された環境特性を明らかにすることで、地域文化の振興・生活環境の再編に重点を置いた地域再生の動きにも還元する。
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研究実績の概要 |
令和3年度もコロナ禍の終息が見られなかったため、学術研究会への参加や文献収集、分担者との研究会を中心にすすめた。台湾現代建築學會のオンライン研究会に参加し、ナショナリズムの空間形式や東南アジアの植民地都市と建築、華人の建築に関する研究発表を聴講した。特にマレーシアの都市と建築に関する内容が本研究の参考となり、海上集落を含めた居住環境の地域性について知識を得ることができた。そして、インターネットによる文献収集の結果、研究分担者が研究対象とする民俗宗教、宗族などの関連分野に関しては、中国本土との差異性が見えてきた。東南アジアの中国系移民は、出身地の伝統や宗族としての一体性を維持しながらも、多民族文化の中で相互交渉を繰り返しつつ自文化を維持変容させて生き残りを図ってきた。対象集落も数々の文化的、社会的試練の中で、どのように民族的一体性を確保しながら変容してきたのかを見ていく必要性を把握した。また、前年度に入手した学位論文の翻訳をすすめ、当該地域の歴史的変遷と1990年代までの生活状況について知見を得た。 令和4年度に海外渡航可能となり、3月に現地調査を実施した。第1回目の調査に引き続き、住居の実測、記録、撮影を中心に行った。集落の居住者と村長に長時間のヒアリングを実施し、建物建設の経緯、住まい方の変遷、伝統行事、互助組織、宗教儀式などに関する情報を収集した。また、マレーシア国立図書館にて、事前に情報提供を依頼していた当該地域に関する資料を閲覧・複写した。マレーシア国土地理院では必要な地図を入手し、研究に必要な資料がある施設についても情報を得ることができたため、次年度以降の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度も新型コロナウイルス感染症による行動制限、渡航制限が日本、マレーシアともに継続しており、海外現地調査を実施することができなかった。マレーシアでは全土でロックダウンとなり、入国および国内観光活動が全面禁止された。また国民の活動制限令も同時に発令され、州を超えた人の移動も禁止された。現地の研究協力者からの情報では、対象集落周辺は住民以外の立入制限および居住者数の減少により、調査ができる状況にないことを確認した。令和4年度に当該年度の課題について一部、現地調査を行うことができたが、令和2年度分の研究課題も同時進行であったため調査時期の設定が困難となり、一度しか渡航することができなかった。そのため、当初の予定より遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は新型コロナウイルス感染症による行動制限、渡航制限の緩和が予想されるため、現地調査の準備をすすめていく。現地の研究協力者ともオンライン会議を重ね、調査地の状況について把握しながら、過密にならない調査手法を計画していく。
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