研究課題/領域番号 |
20H04485
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10352551)
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研究分担者 |
正田 悠 京都市立芸術大学, 音楽学部, 講師 (00724361)
鹿内 菜穂 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (20706816)
原 尚幸 京都大学, 国際高等教育院, 教授 (40312988)
波多野 賢治 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80314532)
山本 倫也 関西学院大学, 工学部, 教授 (60347606)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 伝統芸能 / ビッグデータ / モーションキャプチャ / 動作解析 / 無形文化財 |
研究開始時の研究の概要 |
時間とともに消えゆく無形文化財としての伝統芸能は、人から人への口伝により、その「わざ」が継承されてきたため、深刻な後継者不足による失伝の危機に瀕している。これを回避するための方略として、近年、デジタル技術を用いた「わざ」の保存による継承支援への期待が高まってきた。 本研究では、将来的には誰もがアクセス可能な形で公開するために、データ工学やデータサイエンスの手法を用いて無形文化財のデータを統合化し「伝統芸能ビッグデータ」を構築することで、データを保存・解析・共有する方法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、まず「既存データの統合とデータベース化」として、これまでに取得してきた計測データ(舞楽、日本舞踊、民俗舞踊等)を統合する手法について検討をおこなった。特に本年度は、動作計測(モーションキャプチャ)や映像コーディングといった異なる手法によって抽出されたデータを同じプラットフォーム上にいかにして格納するか,という点について検討した。また、「新たな伝統芸能データの収集・保存」として、「よさこい踊り」と「茶道お点前」のデータ収録を行った。「よさこい踊り」は、モーションキャプチャによる3次元動作計測を行い、「総踊り」と呼ばれる舞踊動作が地域によってどのように異なるかを定量的に解析した。「茶道お点前」は、文脈情報、背景情報が、お点前の動作の評価にいかなる影響を与えるかを確かめるべく、映像を用いた感性評価実験を行った。いずれも学会にて成果を公表した。 また、新型コロナ感染拡大により、当初予定していた高齢者の芸能従事者の収録は実施できなかった。したがって、過去に収録された映像から身体動作データを取得し、アーカイブする方法について検討した。今年度も昨年度に引き続き、OpenPoseによって映像から2次元座標の抽出を行い、動作の定量的分析の妥当性について検証した。単純動作である歩行動作の場合は、過去の収録画像から角度情報の抽出により動作の比較検討が可能であるものの、日本舞踊のような伝統芸能の場合は、着物等を着用していることから骨格情報の抽出が困難であり、ELANのようなタグ付けによるデータ抽出の方が適していることが確かめられた。 このように動作情報のみでは着衣等の影響を受けるため、生体情報を取得することにより、伝統芸能における間合いや演者同士のタイミング制御を定量解析する実験環境を整えるための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響により、当初予定していた高齢の芸能従事者の収録が実施できなかったため、大学生による舞踊動作の収録を実施した。また、モーションキャプチャ等のマーカ接触による動作収録ではなく、映像によるビデオ収録により、茶道のお点前動作のデータ取得を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に引き続き、2021年度も、コロナ感染拡大の影響により当初予定していた芸能従事者(高齢者層)に対する動作計測が予定通り行えず、一部の収録を映像収録に切り替えた。 また、OpenPose等の映像に基づく動作データ抽出の方法は、収録時のカメラ位置や動作者の服装の影響を大きく受けることがわかったため、間合いやタイミング制御の分析は、必ずしも座標情報に基づくのではなく、ELAN等のツールによってデータ抽出することを視野に入れる。さらに、生体情報を取得することにより、伝統芸能における間合いや演者同士のタイミング制御についても多面的アプローチによって可視化することを検討する。 今後は、モーションキャプチャやOpenPoseによって得られる座標情報と、ELAN等によって得られるタイムコード情報やマルチセンサによって取得された生体情報を、どのようにして同一のプラットフォーム上で格納するかについては研究分担者と綿密に検討する必要がある。
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