研究課題/領域番号 |
20H04491
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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研究分担者 |
船越 孝太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30839311)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 実行形注意 / パーソナリティ / ロボティックス / 眼球運動 / 実行機能 / 動作 / 行動選択 / 抑うつ / 注意 / 実行計注意機能 / インタフェース / 実行系注意機能 / 前頭葉機能 / ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではパーソナリティの個人差の基盤となる実行系注意機能の働きを明らかにすることを目的とする。そのために,実行系注意機能の個人差を調べる新しい実験パラダイムを構築し,その結果をもとに行動が生成される際の実行系注意機能の働きに関するモデルを作る。モデルをロボットやアニメーション中のエージェントに実装し,モデルのパラメータを変えることで,ロボットやアニメーションの行動を変化させ,どのようなパーソナリティを有しているように知覚されるかを,心理実験やクラウドソーシングにより評価者が評価する。評価に基づくモデルの修正を繰り返すことで,より精緻なモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度、眼球運動についての研究、パーソナリティの生理学的基盤に関する研究、さらには、実行系注意と眼球運動に関する研究などの成果に基づいて構築した、眼球運動とパーソナリティ、実行系注意機能との間の仮説的なモデルからの予測が確認されるか否の心理実験を行った。当初はアバターを用いて実験を行う予定であったが、人型ロボットが利用できることとなったため、ロボットにモデルに基づく眼球運動を実装した。本研究の最終的な目的は、ロボットなどに理論的モデルに従った眼球運動を実装することであることから、本変更は研究を加速させることとなる。オンライン実験の実験手続き上の制約から、実験では、ロボットを直接的に用いるのではなく、モデルに従って動作しているロボットの動画を作成し、そこから知覚されるパーソナリティ評価結果を実験参加者から収集した。その結果、視線移動の方向と頻度によって、パーソナリティの5因子理論のうち、外向性、勤勉性、開放性の印象が変化することが明らかになった。これらは、いずれもモデルからの予測と一致した。一方、予測された神経症傾向への眼球運動の影響は観察されなかった。この結果に基づき、モデルの修正を行った。また、視線方向に加えて、瞬きの要因についても、先行研究に基づいてモデル化を行った。エージェントの動作に関しては、昨年度の結果に基づき、実際の行動選択における実行機能の役割とパーソナリティの関係を、パーソナリティの生物学的な理論に基づきモデルを検討した。モデルをロボットに実装し、予備的な観察を行った。その結果は、モデルの妥当性を示唆するものであった。これらの結果は、パーソナリティの基盤となる生物学的な要因が実行機能の働きを調節し、その結果として表出される行動(動作や眼球運動)がパーソナリティとして他者に知覚されるという本研究の仮説を概ね支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、計画当初は、眼球運動や動作を容易に制御できるロボットが技術的な点で利用可能であるかが不透明であったため、アバターなどのアニメーションを使った実装を計画していたが、本年度に入り、ロボットが利用可能となったため、そのロボットを用いた眼球運動と動作に関する研究を実施した。その結果、研究が加速されることとなった。一方で、動作に関しては、同様にロボットを用いた研究に、これまでの成果を実装すべく検討を行ったが、アバターの動作とロボットの動作では挙動が異なるため、多少の進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、PC画面上のアバターやアニメーションを用いた実証から、実際の人型ロボットを用いた実証を行うことに変更を行ったため、一部に遅れを生じたが、本年度、最終年度に向けてモデルの妥当性の検証を加速させるとともに、成果発表に関しても計画的に実施する予定である。
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