研究課題/領域番号 |
20H04492
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 (2021-2023) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
守田 知代 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (60543402)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | クロスモーダル抑制 / 機能的MRI / 視覚野 / 発達 / 運動 / Negative BOLD信号 / 運動領野 / 視覚領野 / 可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
脳神経系の抑制機能は、脳システムが適切に作動するために重要な役割を果たす。中でも、脳の機能領域間で起こる抑制は、ある領域が無関係な領域からの干渉を受けずに機能することを可能にすると想定されているが、その理解は大幅に遅れている。本研究では、成人を対象に運動中の脳活動を機能的MRIを用いて計測し、運動中に視覚領野でみられるクロスモーダル抑制(Negative BOLD現象)に着目し、この抑制の機能的役割、作用動態および発達に伴う形成過程など多角的な視点から包括的に理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度に実施した実験データを解析し、視覚―聴覚間のクロスモーダル抑制の機能的役割および個人差について調査した。(1)視覚(あるいは聴覚)刺激が提示されたら、できるだけ早くボタン押しを行う単純反応課題と、(2)それに加えて単純反応課題とは異なるモダリティー情報(聴覚あるいは視覚)が干渉刺激として与えられる干渉つき反応課題を実施した。行動レベルでは、視覚・聴覚いずれに対する反応も、干渉刺激によって反応時間がばらつくことを確認した。またその干渉の受けやすさには個人差があることも明らかとなった。また、上記課題中に計測されたMRIデータから、(1)の聴覚反応課題時における視覚領野の抑制が強い人ほど、(2)の聴覚に対する反応が視覚情報によって干渉されやすいことが分かった。この結果から、視覚に対する敏感性が高く、視覚領野が反応しやすい人ほど、視覚情報を必要としない課題中には視覚野をより強く抑制する仕組みをもつ可能性が示唆された。 また、上記解析と並行して、発達期の視覚経験がクロスモーダル抑制の形成にどのように関係するのか明らかにするために、既存の視覚障碍者の脳計測データを解析した。晴眼者が一定ペースの音に合わせて手足を動かす際には、視覚領野の活動が大きく抑制される一方で、このような視覚領野の抑制は視覚障碍者では観察されなかった。上の実験結果と合わせて考えると、発達過程のなかで視覚情報処理システムが成熟する一方で、視覚情報を必要としない場合に視覚野が抑制されるシステムが同時に形成されていく可能性がうかがえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により実験開始は数か月遅れたものの、当初予定していた脳計測実験を実施できたため、おおむね順調に進行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた実験はこれまで順調に進行している。今後は、これまで3年間の研究成果を論文にまとめて、学術雑誌に投稿する。
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