研究課題/領域番号 |
20H04500
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
生嶋 健司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20334302)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 生体医工学 / 超音波 / 音響誘起電磁法 / 圧電効果 / コラーゲン / 線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、超音波を利用する新手法――音響誘起電磁法(ASEM)法――を用いて、生体組織における圧電性と強誘電性を明らかにし、医療診断への可能性を追求することである。骨やアキレス腱などのコラーゲン配向性をもつ生体組織が圧電性を有することは半世紀以上前に乾燥したサンプルにおいて報告されている。近年我々が開発したASEM法の特徴は、(i) 生体環境に近い湿潤した組織や臓器の圧電性を評価できる、(ii) 超音波走査により圧電分布を画像化できる、ことである。そこで本研究では、生体組織の圧電性・強誘電性を組織・器官・臓器レベルで解明し、医療診断応用の可能性を追求することである。
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研究成果の概要 |
本研究では、音響誘起電磁法(ASEM法)を用いて、生体組織の圧電性を明らかにし、医療診断への可能性を追求した。主な成果は、(1)生体線維組織(骨、腱、筋組織等)における音響誘起分極の大きな異方性が確認され、線維構造の対称性に伴うことが示唆された、(2)ラット骨粗鬆症モデルにおいて音響誘起分極が減少する傾向が見出され、骨粗鬆症診断への可能性が示された、(3)ヒト測定が可能になり、体内の骨や腱等の音響誘起分極の画像化に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、生体線維組織において超音波によって誘起される電気分極(音響誘起分極)は、等方的に生じるわけではなく、コラーゲン等の線維状タンパク質の配列や構造に起因していることが示唆された。さらに、ラット骨粗鬆症モデルにおいては分極が小さくなることが明らかにされた。これらの結果から、湿潤または生きた生体組織において構造由来の圧電分極が生じることが確認され、その分極の大きさや異方性が運動器官組織の健全性を評価する指標になることが見込まれる。一方、ヒト体内の骨や腱からの分極を画像化することに成功し、基礎研究から臨床研究へ進む大きな一歩を踏み出した。
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