研究課題/領域番号 |
20H04525
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安楽 泰孝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60581585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 薬剤送達システム / スマートベシクル / 血液脳関門 / 抗体医薬 / 高分子 / 脳 / アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
脳は血管内皮細胞間の結合が極めて強固なために、血管内腔から脳実質部への物質輸送が著しく制限されている(血液脳関門: BBB)。そのために、アルツハイマー病(AD)等の脳神経系(CNS)疾患の治療に十分量の薬剤を、全身投与によって脳実質部に送達し、機能させられない事が大きな課題となっている。この課題を解決するために本研究では、脳実質部に十分量の抗体医薬を送達することで機能を発現させるウイルス・サイズの薬剤送達システムを、生体適合性に優れた高分子材料の自己組織化に基づいて構築し、CNS疾患の革新的治療法を確立することを目的とする。
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研究成果の概要 |
血液脳関門(BBB)を突破して脳実質部に浸透し、さらには脳内環境に応答して抗体医薬を放出することで機能を発現させる薬剤送達システム(DDS)を、生体適合性に優れた高分子材料の自己組織化に基づいて構築し、脳神経系変性疾患の革新的治療法を確立することを目的とした。抗体医薬を内水相に搭載したスマートベシクル(IgG@SV)を新規に開発した。IgG@SVは血液を模倣した環境で構造を維持し、脳内を模倣した環境で構造が解離し、封入したIgGを放出する機能を有する。このIgG@SVをアルツハイマー病マウスモデルマウスに尾静脈投与したところ、IgG単体と比べて25倍効率よく脳内へ送達可能であることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有効な治療法が未確立である脳神経系変性疾患に対して、抗体医薬の脳内送達に基づく分子治療という抜本的解決策を提供するものであり大きな意義を有している。また高分子/材料設計の観点からは、生体適合性・標的指向性・環境応答性という異なる機能を空間的に制御された形で構造内部に配置する仕掛けを創り込むなど、独創性に秀でた生体材料設計プロセスを当該分野にもたらす意義を有している。産業的側面から考えても、細胞レベルでは十分な効果が得られるのに対し、BBB通過できずに治療効果が得られず開発が中断された薬剤が多い中、本システムは開発が中止された薬剤についても再チャレンジの機会が得られる経済的価値は計り知れない。
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