研究課題
基盤研究(B)
本研究では、申請者らが最近発見したヒトSyncytin1由来の膜透過促進ペプチドと、独自のmRNAディスプレイ法による小型ドメイン抗体や人工ペプチドリガンドの試験管内選択技術を利用して、これまでバイオ医薬の創薬ターゲットにできなかった細胞内の疾患標的を対象とする画期的な抗がん剤の開発のための要素技術を確立することを目的とする。従来の抗体医薬による細胞外のターゲットだけではなく、「細胞内に広がっている未開の領域」を新たに創薬ターゲットとすることが可能になれば、我が国のバイオ創薬技術の基盤強化、ひいては国民の医療・福祉の向上に多いに貢献することが期待できる。
本研究では、申請者らが発見したヒト由来の膜透過促進ペプチドと、独自のmRNAディスプレイ法による小型抗体やペプチドリガンドの試験管内選択技術を利用して、これまでバイオ医薬の創薬ターゲットにできなかった細胞内の疾患標的を対象とする画期的な抗がん剤の開発のための要素技術を確立した。まず、mRNAディスプレイ法により、がん細胞表面マーカーまたは細胞内疾患標的に結合するヒトVH単一ドメイン抗体を創出した。これらをヒト由来膜透過促進ペプチドと組み合わせることで、バイオ医薬モデルとしてのタンパク質、ペプチド、核酸を細胞選択的に細胞内送達することに成功した。
本研究により、これまで創薬ターゲットとすることが困難であった ('undruggable') がん細胞内の疾患標的に対するバイオ医薬を、がん細胞選択的に細胞内に送達させることで、2重の鍵をもつきわめて副作用の少ないバイオ医薬を開発するための創薬プラットフォームを確立することが期待できる。従来の抗体医薬による細胞外のターゲットだけではなく、「細胞内に広がっている未開の領域」を新たに創薬ターゲットとすることが可能になれば、我が国のバイオ創薬技術の基盤強化、ひいては国民の医療・福祉の向上に多いに貢献することが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/11/1/28-133025/