研究課題/領域番号 |
20H04561
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (70002102)
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研究分担者 |
大河内 直之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (30361679)
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 聴覚特性 / 触覚特性 / 質感知覚 / 視覚障害者 / 感覚拡張 / 視覚障害 / 感覚提示 / 聴覚情報処理 / 触覚情報処理 / テクスチャー / クロスモーダル / 質感 / 触覚 / 聴覚 / 感覚代行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、視覚障害者に特有な触覚・聴覚で知覚される質感のメカニズム解明とその提示・感覚拡張手法の導出を目的とし、新しい感覚代行手法の提案につなげていく。具体的には、触覚・聴覚単独の場合と、双方が同時提示される場合での質感知覚について、以下の3項目を遂行する。 (A)視覚障害者への質感知覚に関する聞き取り/アンケート調査 (B)触覚・聴覚提示する実験システムの設計・開発 (C)システムを用いた質感知覚の実験的解析・評価 一連の結果を基に、視覚障害者への質感提示・感覚拡張手法を提案・設計する。
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研究実績の概要 |
本研究では、視覚障害者への有効な感覚提示・拡張手法を提案するために、自ら獲得した触覚・聴覚の質感メカニズムを調べ、触覚・聴覚単独の場合と双方が同時提示される場合における質感知覚を比較した。 具体的には、(1) 視覚障害者が聴覚的に感じる空間や音声の質感知覚メカニズム、 (2) 視覚障害者が触覚的に感じるテクスチャの質感知覚メカニズム、(3) 視覚障害者における触覚・聴覚におけるマルチモーダル知覚の特性を調べた。 以上の調査は3段階を経て実施された。すなわち(A) 視覚障害者への質感知覚に関する聞き取り/アンケート調査、(B) 触覚・聴覚提示システムの開発、(C) システムを用いた質感知覚の実験的評価である。これらの研究成果を基に、視覚障害者へのより有効な質感提示・感覚拡張指針を提案した。 本年度は、(1)得られた調査結果を既存研究と比較の上で空間・音声に関する質感に関する仮説を整理し、主に全盲者に対して、聴覚的に感じられる空間印象に対する評価実験を行った。 (2)紙質ごとの点字の印象についての調査を行い、既存研究と比較の上で彼らが触覚的に感じる質感についての仮説を整理した。同時に、テクスチャ提示を行えるように、既存の触覚ディスプレイを改良した。 (3)視覚障害者に、触覚情報と聴覚情報が同時提示された場合の双方の影響による質感の変化を調べた。例えば、スクリーンリーダと点字ディスプレイを併用して文章を読んだ場合、点字と音声の情報が食い違うときに生じる混乱について調べた。さらに、視覚経験の有無によるクロスモーダルな錯覚の違いに着目し、質感認識メカニズムの仮説を提示した。 以上の結果を基に、より効果的な提示/感覚拡張指針を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎的な調査や実験は概ね予定通りに進んだが、感覚提示・拡張システムのための装置の開発に遅れが生じた。そのために予定していた実験ができなくなり、研究の一部が次年度へ繰り越した。 その理由は、コロナ禍などで輸入制限が生じたためであるが、次年度には解決すると予測しており、所期の成果を達成する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
1.本課題で得た知見や仮説を基に、効果的な提示/感覚拡張指針を具体化するための情報提示機器の設計と開発を進める。 2.開発機器を実際に視覚障害者に使用してもらい、その有用性や問題点を評価する。 3.評価結果から機器の実用性を調べるとともに、提案した仮説を検証する。 4.以上から、視覚障害者の触覚と聴覚における質感知覚メカニズムの解明に向けた新たな研究計画を立てる。 5.その結果に基づいて、より有用な感覚提示・拡張方式を提案する。
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