研究課題/領域番号 |
20H04566
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
中後 大輔 関西学院大学, 工学部, 教授 (90401322)
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研究分担者 |
しゃ 錦華 東京工科大学, 工学部, 教授 (10257264)
橋本 洋志 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (60208460)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 起立動作支援 / 随意運動 / 姿勢制御運動 / 筋シナジー / 起立支援ロボット / 起立支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、起立動作運動を随意運動と姿勢制御運動の重ねあわせとして捉え、その相互依存性を表す身体動力学による定量表現と、これら両動作の内面を表す筋肉の協同発揮現象(筋シナジー)を融合した筋シナジー起立人間モデルを確立すること、これを用いて健常者と高齢者の起立動作メカニズムを明らかにすること、その知見を起立支援装置の設計論に応用することを目的とする。起立動作は、随意運動とそのブレを補償する姿勢制御運動の相互依存より成り立ち、これらを定量表現する姿勢モデルと安定余裕モデルを新たに提唱する。これら両モデルと筋シナジーによるモデル表現を融合して、両動作の相互依存性の発現原理を定量的に説明する。
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研究実績の概要 |
2020年度計画にて実施した内容は以下の通りである。 (A)筋シナジー起立人間モデル論の構築(A-0)高齢者の動作を模擬する装具の開発(担当:中後、しゃ) 2020年4月以降今日まで、新型コロナウィルス蔓延の影響に伴い高齢者施設への立ち入りは厳しく制限されており、高齢者を直接計測する研究計画は実施不可能となった。そのため、直接高齢者を計測することなく本研究を実施するため、最初に高齢者の身体状況を模擬する装具を開発した。この装具は、健常者が装着することで、腰関節・膝関節・足首関節の関節可動域を伸展方向・屈曲方向に独立して設定することが出来る。開発した装具に実装したこれらの機能を用いることで、関節可動域が狭まった高齢者の動作を健常者(模擬高齢者と呼ぶ)にて再現できるようになった。 (A-1)姿勢制御運動の定量的表現法の解明(担当:中後、しゃ) 次に、健常者に動的起立を、模擬高齢者に静的起立を行ってもらい、その動作中、床面に被験者が意識しない程度の僅かな動きを加えた。このことで、被験者の無意識な姿勢制御運動を誘発させ、姿勢変化、椅子・補助棒に頼るときの力の向きと大きさを測定した。同時に起立動作時の各筋電波形も計測した。測定データを基に、身体力学の観点から起立動作運動を随意運動と姿勢制御運動に分解し、随意運動を姿勢変化で表した姿勢モデルを得た。次に、随意運動と姿勢制御運動の組み合わせから、姿勢制御運動と随意運動の身体力学的な相互依存性を見いだした。この相互依存性を姿勢モデルに当てはめると、随意運動を行う時に必要な姿勢制御運動の集合を得ることができた。以上より、模擬高齢者の身体能力から実行可能な姿勢制御運動の集合を得て安定余裕モデルを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス蔓延の影響で、高齢者の生体情報を直接計測することが困難になったため。高齢者の動作を模擬する装具を新たに開発したため、以後はこれを用いて研究を進める予定。
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今後の研究の推進方策 |
来年度に実施する内容は以下の通りである。以降の研究は、模擬高齢者のデータを用いるが、コロナが収束した段階で速やかに実際の高齢者のデータに置き換える予定である。 (A)筋シナジー起立人間モデル論の構築(A-2)随意運動と姿勢制御運動の相互依存性に基づく筋シナジー起立人間モデルの確立(担当:中後、橋本) (A-1)で得た筋電データを用いたシナジー解析を実施し、起立動作を構成する各運動に対応する筋シナジーの組合せを抽出する。これらを、従来開発してきた起立人間モデルに入力として与えて、健常者、模擬高齢者の動的起立と静的起立を再現する。さらに、随意運動を発揮する筋シナジーに部分的なゆらぎを与えて、これを補償するような姿勢制御運動の発生の仕方を(A-1)で求めた身体力学的な相互依存性を考慮して定める。さらにこの姿勢制御運動を行うために必要な筋シナジーを求めることで、随意運動と姿勢制御運動の相互依存的な関係性と特性を筋シナジーで表現する筋シナジー起立人間モデルを得る。 (B)筋シナジーに基づく支援方策の確立(B-1)筋シナジー欠損状態の推定法の確立(担当:中後、橋本、大学院生2名) 静的・動的な起立姿勢から筋シナジー欠損状態の推定を行うため、(A-2)で確立した筋シナジー起立人間モデルを用いる。ある一部欠損のある筋シナジーであっても起立姿勢がほぼ同じ場合、これは、残存する筋力が相互補完しての筋シナジー効果を示すためと考えられる。そこで、健常者と模擬高齢者それぞれに対して、ある出力に対して複数の入力が存在し得るという関係を分類化してデータベースに記録する。両データベースを比較することで、欠損している筋肉部位、その影響がどのように筋シナジーに現れるかを分析するというアプローチをとり、筋シナジー欠損状態の推定法を確立する。
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