研究課題/領域番号 |
20H05623
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 宏 京都大学, 理学研究科, 教授 (90234244)
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研究分担者 |
草田 康平 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50741857)
古山 通久 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 教授(特定雇用) (60372306)
大坪 主弥 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 准教授 (90601005)
吉田 幸大 京都大学, 理学研究科, 特定准教授 (10378870)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
631,930千円 (直接経費: 486,100千円、間接経費: 145,830千円)
2024年度: 107,250千円 (直接経費: 82,500千円、間接経費: 24,750千円)
2023年度: 113,100千円 (直接経費: 87,000千円、間接経費: 26,100千円)
2022年度: 150,150千円 (直接経費: 115,500千円、間接経費: 34,650千円)
2021年度: 154,050千円 (直接経費: 118,500千円、間接経費: 35,550千円)
2020年度: 107,380千円 (直接経費: 82,600千円、間接経費: 24,780千円)
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キーワード | 多元素 / ナノ合金 / 触媒 / インフォマティクス / ハイエントロピー / 多元素ナノ合金 / ハイエントロピー合金 / プロセス・インフォマティクス / 元素間融合 / 固溶ナノ合金 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多元素ハイエントロピー効果により、多くの元素種を固溶化させることで、新しいナノ固溶合金を開発すると共に、革新的な触媒機能の創成を行う。超臨界ソルボサーマル連続フロー合成法により、多種金属元素を原子レベルで融合させ、新元素、新物質、新材料の探索を徹底的に行う。1)貴金属8元素からなるハイエントロピー固溶ナノ合金の作製、2)貴金属-卑金属12元素からなるハイエントロピー固溶ナノ合金の作製、3)貴金属-卑金属-軽元素16元素からなるハイエントロピー固溶ナノ合金の作製に挑戦する。さらに、プロセス・インフォマティクスの適用により、一気通貫型の革新的プロセス開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、多元素ハイエントロピー効果により、多くの元素種を固溶化させることで、新しいナノ固溶合金を開発すると共に、革新的な触媒機能の創成を行う。申請代表者が独自に開発した、超臨界ソルボサーマル連続フロー合成法により、多種金属元素を原子レベルで融合させ、新元素、新物質、新材料の探索を徹底的に行う。1)貴金属8元素からなる固溶ナノ合金の作製、2)貴金属-卑金属12元素からなる固溶ナノ合金の作製、3)貴金属-卑金属-軽元素16元素からなる固溶ナノ合金の作製に挑戦する。さらに、プロセス・インフォマティクスの適用により、一気通貫型の革新的プロセス開発を行う。本研究開発により、人間の経験知からでは獲得出来ない、個々の触媒反応に関する「元素の特徴・特性」を機械学習を通して知り得るものと期待される。 本年度は昨年度に続き水熱反応およびソルボサーマル反応を用いた超高速還元連続合成法(ソルボサーマル連続フロー合成法)を適用することで、超臨界・亜臨界における非平衡状態による固溶合金化技術の確立を目指した。ソルボサーマル合成法とは、高温または高圧の溶媒(または超臨界流体)を用いて固体を合成する方法であり、溶媒が水の場合は水熱合成と呼ばれる。 昨年度は多元素ナノ合金触媒開発を加速させるため、カーボンや金属酸化物をスラリーとして流せる特殊なスラリー用送液ポンプを搭載した、全自動型フロー合成装置を設計・開発した。本年度はこの装置を用いて、研究分担者の草田が主として触媒合成を担当し、基礎物性・触媒性能評価に取り組んだ。また、プロセス・インフォマティクスの手法やプロトコル開発は、合成装置から得られてデータを用いて草田と協力しながら、研究分担者の古山が担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多元素ナノ合金触媒の開発を行っていたところ、使用していた合成装置に不測の不具合が生じたため、開発を一部制限せざるを得なくなったが、繰り越しにより装置の改良を行うことで、当初のよて以上の触媒の合成、スクリーニングに成功した。さらに、昨年度に引き続きバッチ型合成法による物質開発も並行して進めており、全体として計画の遅延はない。従って、現状では計画に大きな影響はない。 また、物質開発も概ね良好に進展しており、貴金属に加え、3d遷移金属や典型金属元素を加えた15 元素多元素ナノ合金の合成に世界で初めて成功した。その結果はJ. Am. Chem. Soc.誌に掲載された。また、この論文では電気化学的アルコール酸化反応において多元素合金触媒が高い活性を示すことを報告しており、様々な素反応を含む複雑な触媒反応においおて単金属に比べ多様な正面吸着サイトを持つ多元素ナノ合金が高い触媒活性を示すことを示している。 また、多元素ナノ合金の熱力学的安定性を予測することは、合成可能性を予測するための基盤となる技術である。これまで、ナノ粒子の熱力学がバルクの熱力学と異なることは理論的に明らかにしてきたが、多大な計算資源と時間を必要としてきた。昨年度に引き続き、安定性に関しても理論的予測技術を向上させることによって、より短期間で多元素ナノ合金の安定性を高速に予測することが可能となってきた。
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今後の研究の推進方策 |
多元素ナノ合金は探索範囲が膨大であるため、材料探索には合成のハイスループット化が必要となる。本研究では2022年度までに、上述のソルボサーマル連続フロー合成法を自動化することに成功し、その装置を用いて実験を開始した。今後は引き続き研究分担者の草田が主として触媒合成を担当し、基礎物性・触媒性能評価に取り組む。卑金属の種類によっては嫌気下でのフロー合成も検討する。また、これまでに引き続き、フロー合成の行いにくい物質に関してはバッチ型合成法による物質開発も並行して進め、多元素化による構造、電子状態、物性発現の原理解明を進めていく。研究分担者の大坪も加わることで、ナノ合金形成プロセスおよび基礎物性評価を行う。また、研究分担者の古山はプロセス・インフォマティクスに加え、データ科学を援用した多元素ナノ合金の電子状態解析にも取り組む。多元素ナノ合金は配置の場合の数が膨大であり、従来のDFT計算では妥当な結果がえられない。データ科学を援用することにより、組み合わせ爆発を回避する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
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