研究課題/領域番号 |
20H05627
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本田 賢也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60334231)
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研究分担者 |
寺嶋 秀騎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (60912897)
Li Youxian 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (20840185)
成島 聖子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80578336)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
640,770千円 (直接経費: 492,900千円、間接経費: 147,870千円)
2024年度: 104,000千円 (直接経費: 80,000千円、間接経費: 24,000千円)
2023年度: 130,000千円 (直接経費: 100,000千円、間接経費: 30,000千円)
2022年度: 130,000千円 (直接経費: 100,000千円、間接経費: 30,000千円)
2021年度: 130,000千円 (直接経費: 100,000千円、間接経費: 30,000千円)
2020年度: 55,770千円 (直接経費: 42,900千円、間接経費: 12,870千円)
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キーワード | 常在細菌 / 抗生物質耐性 / ワクチン / 大腸がん / 代謝疾患 / 常在細 / 抗生物質耐性菌 / 腸内細菌 / 百寿 / 多剤耐性菌 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
細菌培養とノトバイオート技術を組み合わせ、常在細菌叢と宿主のより詳細な「因果関係」の理解を進め、エフェクターとなる菌株コンソーシアムを分離選択する。特に1.免疫疾患・ワクチン、2.多剤耐性菌感染、3.代謝疾患、4.がん、5.健康長寿、に焦点をあてて、細菌叢のなかでどの細菌メンバーが、宿主に影響を与えるのかを明らかにする。更に6.マイクロバイオーム基盤技術の開発も進める。長期的にはマイクロバイオームの制御による予防・治療技術を開発する。
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研究実績の概要 |
1.免疫疾患・ワクチン、2.多剤耐性菌感染、3.代謝疾患、4.がん、5.健康長寿、に影響する常在細菌を探索した。まず、Paraprevotella claraが、トリプシンやTMPRSS2の分解を介してMurine hepatitis virusの腸管感染を阻害することを見いだした。さらにP. claraのトリプシン分解遺伝子はCOVID19感染症における腸炎発症と逆相関していることを見いだした。これを論文として報告した(Nature. 2022)。また、抗生物質耐性菌を除去できる有益な細菌種を探索し、ヒト便から31菌株を単離し、そのうち、18種類のFirmicutesを中心とした菌株の組み合わせが、クレブシェラ株だけではなく、接着浸潤性大腸菌などに対しても腸管からの除去効果を発揮することを見いだした。更にそのメカニズムもトランスポゾンミュータジェネシスを用いることで明らかにすることができた。代謝疾患を改善する細菌種を探索する研究においては、低タンパク食が、白色脂肪組織において、腸内細菌依存的にBeige細胞を強力に誘導することを見出した。健常者にFDG-PET行って、FDGの集積が確認された1名の便から単離した33菌株にBeige細胞誘導を促進する作用があることがわかった。大腸がんに影響する細菌種の探索研究では、APCf/f x KrasLSL-G12D x Tp53f/f x Cdx2-CreERT2マウス (AKTCマウス)が腸内細菌依存的に大腸腫瘍を発症すること、更に、大腸がん切除標本上皮から単離した14菌株にAKTCマウスにおける大腸腫瘍発症作用があることが分かった。そして百寿者の便サンプルから3-oxo-LCAやallo-iso-LCAといった特殊な胆汁酸を代謝合成する細菌を同定し、それらの細菌種はステロイドも代謝することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 免疫疾患・ワクチンを増強する細菌の探索:SARS-CoV2 mRNAワクチン2回以上接種者104名の便と血清を収集した。Dorea formicigeneransやStreptococcus salivariusが抗体価と正の相関があることがわかった。 一方別の解析から、Paraprevotella claraが、トリプシンやTMPRSS2の分解を介してMurine hepatitis virusの腸管感染を阻害することがわかった。これを論文として報告した(Nature. 2022)。 2. 抗生物質耐性菌を除去できる有益な細菌種の同定:ヒト便から31菌株を単離し、そのうち、18種類のFirmicutesを中心とした菌株の組み合わせが、クレブシェラ株だけではなく、接着浸潤性大腸菌などに対しても腸管からの除去効果を発揮した。 3. 代謝疾患を改善する細菌種の同定:低タンパク食が、白色脂肪組織において、腸内細菌依存的にBeige細胞を強力に誘導することを見出した。25名の健常者にFDG-PET行って、FDGの集積が確認された1名の便から、33菌株の細菌株を分離した。その33菌株を無菌マウスに投与し、低タンパク食を与えると、強いBeige細胞誘導が確認された。 4. 大腸がんに影響する細菌種の同定:APCf/f x KrasLSL-G12D x Tp53f/f x Cdx2-CreERT2マウス (AKTCマウス)が腸内細菌依存的に大腸腫瘍発症モデルとして適していることが分かった。大腸がん外科的切除標本の上皮から単離した14菌株を無菌AKTCマウスに定着させたところ、大腸腫瘍が発症することが分かった。 5. 健康長寿:百寿者の便サンプルから3-oxo-LCAやallo-iso-LCAといった特殊な胆汁酸を代謝合成する細菌を同定した。それらの細菌種はステロイドも代謝することがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
1. ワクチンレスポンス: SARS-CoV2 mRNAワクチン投与後のボランティアの便と血漿を収集し、高い抗体価を示す細菌叢の特徴を明らかにする。更に、その便から抗体レスポンスを増強する細菌の単離を目指す。 2. 抗生物質耐性菌: 健常者の便サンプルから、抗生物質多剤耐性菌クレブシエラ菌に対して腸管定着防御に働く18菌株を同定し、そのメカニズムを明らかにできたので、クレブシェラが増加する疾患(炎症性腸疾患など)との関連性も調べる。 3. 代謝疾患:ヒト腸内細菌叢の中から33菌株が、低タンパク食によるBeige誘導を十分に媒介できることが分かったので、そのメカニズムの詳細を明らかにする。 4. がん: APCf/f x KrasLSL-G12D x Cdx2-CreERT2マウスにおいて大腸腫瘍を誘導する14菌株を同定したので、その腫瘍誘導メカニズムを明らかにする。 5. 健康長寿: 百寿者便から単離したallo-iso-LCA産生菌はテストステロンの代謝も媒介することが分かったので、その代謝産物の機能を明らかにする。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
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