研究課題/領域番号 |
20H05633
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
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研究分担者 |
C Y.Horioka 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 特命教授 (90173632)
高橋 亘 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (70327675)
貝原 俊也 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (70289114)
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)
敦賀 貴之 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (40511720)
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
関 和広 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (30444566)
多湖 淳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80457035)
小林 照義 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (10387607)
柴本 昌彦 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (80457118)
西村 和雄 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 特命教授 (60145654)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
190,320千円 (直接経費: 146,400千円、間接経費: 43,920千円)
2024年度: 43,810千円 (直接経費: 33,700千円、間接経費: 10,110千円)
2023年度: 35,750千円 (直接経費: 27,500千円、間接経費: 8,250千円)
2022年度: 37,960千円 (直接経費: 29,200千円、間接経費: 8,760千円)
2021年度: 36,270千円 (直接経費: 27,900千円、間接経費: 8,370千円)
2020年度: 36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
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キーワード | 金融・財政政策 / リスクマネジメント / 金融・経済政 / 金融ネットワーク / 少子高齢化 / 外国人労働者 / 金融・経済政策 |
研究開始時の研究の概要 |
財政破綻のリスクは過去10年以上にわたって叫ばれているが、実際に破綻するか否かは意見が分かれる。その大きな理由としては、財政破綻リスクは直接的には観測でない上に、トレンドから大きく逸脱するようなリスクは現在のマクロ経済学の標準的な手法では推定はできないことがあげられる。さらに、近年、日本では自然災害による甚大な被害が多発し、国際関係でも緊張感が高まっており、経済システム外からのリスクも無視できない。本研究の目的は、計算社会科学の分析手法とスーパーコンピュータ技術を駆使することにより、直接的に観測できないリスクを推定し、適切に対応できる包括的な金融・財政政策を導出する手法を確立することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、リスクに適切に反応する包括的な金融・財政政策を導出する手法を確立することである。具体的な目的は、以下の二つである。(1)財政問題は、財政を支える労働人口の減少の影響が大きく、少子高齢化、外国人労働者、移民問題と表裏一体の関係にある。本研究では、人口構成が時間とともに変化する現実的な経済モデルにおいて、リスクを事前に推定し、適切に反応する政策を導出する。(2)近年、日本では自然災害による甚大な被害が多発し、国際関係でも緊張感が高まっており、経済システム外からのリスクを無視できる状況にない。本研究では、自然災害リスクや国際関係リスクへ適切に反応する政策も導出する。 R3年度は、「理論」グループ、「実証」グループ、及び「シミュレーション/ネットワーク」グループの3グループにより、以下の研究計画に取り組んでいた。理論グループは、AI技術による将来予測の経済主体のモデル化や国際モデルにおける貿易不均衡・貿易戦争リスクの分析を行った。実証グループは、少子高齢化と社会保障に関する実証分析、地方自治体レベルのデータによるリスク及び政策効果分析、国際関係リスクに関するオンライン・サーベイ実験、リスク推定のためのテキストデータベース構築を行った。シミュレーション/ネットワークグループは、金融・銀行間ネットワークモデルにおけるシステミックリスク分析を行った。これらのグループは互いに連携し、それぞれの専門分野において研究成果を共有しながら計画を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、先行プロジェクトである基盤研究(S)「包括的な金融・財政政策のリスクマネジメント:理論・実証・シミュレーション」(2015~2019年度)を発展させたものであり、先行プロジェクトの延長線上にある研究は極めて順調に進んでいる。 さらに、先行プロジェクトの単純な延長線上にはない研究において、当初予見していなかった大きな成果をあげている。特に、個別プロジェクト「景気ウォッチャー調査による機械学習・期待形成メカニズムの分析」で開発したAIにより、国際政治リスクを予測できる可能性がある。現在進行中のウクライナ危機により、国際関係リスクはこれまでにないレベルで注目されており、この方向の研究を追求することで、大きな社会インパクトに繋がる成果が期待できる。 他にも、先行プロジェクトの単純な延長線上にない個別プロジェクト「AIによる将来を予測する経済主体(エージェント)のモデル化」、「少子高齢化と社会保障に関する実証分析」、「外国人労働者・移民の影響に関する実証分析」等において着実な分析結果を得ており、期待以上の成果をあげている。 以上の理由により、当初の想定を超える研究の進展があり、期待以上の成果が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における具体的な個別プロジェクトは以下のとおりである。 ①理論:AIによる将来を予測する経済主体のモデル化 ②理論:現実的な人口構成を明示的に取り入れたモデル構築・分析 ③理論:国際モデルにおける貿易不均衡・貿易戦争リスクの分析 ④理論:リスクに適切に反応する政策導出のための最適化問題の分析 ⑤実証:少子高齢化と社会保障に関する実証分析 ⑥実証:外国人労働者・移民の影響に関する実証分析 ⑦実証:都道府県・市町村レベルのデータによるリスク及び政策効果分析 ⑧実証:国際関係リスクに関するオンライン・サーベイ実験 ⑨実証:リスク推定のためのテキストデータベース構築 ⑩実証:景気ウォッチャー調査による機械学習・期待形成メカニズムの分析 ⑪実証:理論モデルに基づくリスク推定 ⑫SN:金融・銀行間ネットワークモデルにおけるシステミック・リスク分析 ⑬SN:金融・銀行間ネットワークモデルのシミュレーション・実証分析 ⑭SN:理論モデルのシミュレーション分析 ⑮全体:包括的な金融・財政政策の導出 ⑯全体:国内向けシンポジウム開催 ⑰全体:国際シンポジウム開催 ⑱全体:Journal of Computational Social Science 特集号 ⑲全体:International Journal of Economic Theory 特集号 ⑳全体:政策提言 (21)新型コロナウイルス感染症に関する理論・実証分析 今後は研究計画どおり、個別プロジェクト①~⑮、及び(21)を継続し、⑯~⑳を実施する計画である。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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